2017年2月27日月曜日

整体教養論|患者さん自身にやってもらう 身体の歪みの調整法

第1節 脳が記憶している身体の歪み

身体の歪みは、放置していると重篤(じゆうとく)な病気になる可能性もありますので、
早急な調整をするとともに、生活習慣を元から改善することが必須です。

身体の歪みを解消するには、脳の記憶の問題を解決することが重要です。

脳は繰り返しの刺激や長く同じ刺激を受けることで記憶が強固になります。

悪い姿勢を日常的に繰り返すことで、また、悪い姿勢を長く続けることで、脳はその悪い姿勢を本来の正しい姿勢と勘違いしてしまいます。

従って、整体施療では、脳に良い姿勢を記憶させるため、本来の正しい身体のあり方を記憶させるように施療していきます。
    
悪い姿勢の記憶が良い姿勢の記憶に置き換えられるまで、施療を繰り返す必要があります。

しかし、それでは患者さんの経済的負担も大きく、整体の効果も最大に発揮することはできません。

整体の施療効果を最大に発揮させるためには、患者さんにも協力してもらう必要があるのです。

簡単な日常生活上の注意点を実行してもらうだけで整体施療の効果は絶大なものとなります。

第2節 整体施療の効果をあげるには…

整体などの代替療法(だいたいりようほう)で、身体の歪みは調整されますが、患者さんの
悪い生活習慣で元に戻ってしまうことが多いのも事実です。

整体の効果を長く持続させて、歪みを解消するには、患者さんに、歪みを解消する調整方法を教えて日常的に実行してもらうことです。

ここでは、患者さんに自宅で日常的に行ってもらうことで、生活習慣の癖を矯正し、身体の歪みを調整する方法を学びます。

もちろん、身体の歪みを調整するとともに、歪みの元となっているストレス解消、食生活や睡眠の改善など内的要因を改善することが最も重要です。


第3節 歪みの調整法

① 前傾の調整法

★かかと歩きをする。
 前向きで5m、後ろ向きで5m、これを一日に数回行います。
  なるべく背筋を伸ばして歩きます。

★手の平を下にして左右の指を組み、背伸びをします。
 手の平を下にすると硬くなった背中の筋肉がストレッチされます。
 両手を頭の上で真っ直ぐに伸ばし、手の平を下にして指を組みます。
  そのまま大きく息を吸いながら、背中と腕を伸ばします。
  息を吸えるだけ吸って、我慢しきれなくなったら、一気に脱力します。
  一日に数回行います。

② 後傾(こうけい)の調整法

★つま先歩きをする。
  前向きで5m、後ろ向きで5m、これを一日に数回行います。
   なるべく背筋をのばして歩きます。

★手の平を上にして左右の指を組み、背伸びをします。
  手の平を上にすると硬くなった胸腹部(きようふく)の筋肉がストレッチされます。
  両手を頭の上で真っ直ぐに伸ばし、手の平を上にして指を組みます。
    そのまま大きく息を吸いながら、胸腹部と腕を伸ばします。
    息を吸えるだけ吸って、我慢しきれなくなったら、一気に脱力します。
    一日に数回行います。

③ 左傾(さけい)の調整法

★何をするときも右足から行動を始める。
  人は無意識には、重心側(じゆうしんがわ)の足から行動する傾向にあります。
  左傾の人は、一般的に左足重心ですので、左足からスカートやパンツをはきます。
   心がけて、右足から行動しましょう。

★ふり返る動作も右側から。
  身体をまわす時は、重心側にまわしやすいのが一般的です。
  左肩下がりの左傾の人は、ふり返るときも左からが多いのが特徴です。
  右側からふり返るようにすると、歪みが調整されます。


④ 右傾(うけい)の調整法

★何をするときも左足から行動を始める。
 人は無意識には、重心側の足から行動する傾向にあります。
 右傾の人は、一般的に右足重心ですので、右足からスカートやパンツをはきます。
  心がけて、左足から行動しましょう。

★ふり返る動作も左側から。
 身体をまわす時は、重心側がまわしやすいのが一般的です。
 右肩下がりの右傾の人は、ふり返るときも右からが多いのが特徴です。
 左側からふり返るようにすると、歪みが調整されます。

⑤ 右回旋(みぎかいせん)の調整法

★左右回旋の調整法は、逆側にねじる体操や動作です。
  日常のオフィスワークも、逆側にねじる体勢を取ると、歪みが調整されます。

★右回旋の人は、上体が右にねじれているので、左にねじる運動を積極的に行います。
 仰向(あおむ)けに寝て、両手と片足を反対方向に、少し反動をつけてねじり体操を行います。

★パソコンなどを身体の少し左側に置いて、自然に左にねじる体勢を取ります。

⑥左回旋(ひだりかいせん)の調整法

★左右回旋の調整法は、逆側にねじる体操や動作です。
  日常のオフィスワークも、逆側にねじる体勢を取ると、歪みが調整されます。

★左回旋の人は、上体が左にねじれているので、右にねじる運動を積極的に行います。
 仰向けに寝て、両手と片足を反対方向に、少し反動をつけてねじり体操を行います。

★パソコンなどを身体の少し右側に置いて、自然に右にねじる体勢を取ります。


第4節 骨盤を整えるお尻歩き

家庭で行うとっておきの骨盤調整法はお尻歩きです。

自宅の畳の上などで行うように指導してください。

足と手を同時に動かすのがコツです。

1日に1回か2回、5mほどの距離を前歩きと後ろ歩きをします。

日常的な生活指導が的確に行えれば、整体の効果も確実に高まります。

整体師の仕事は、身体の歪みを解消して、健康な生活に導いてあげることです!

整体師が健康アドバイザーとして社会の役に立つには食生活の指導もしなくてはいけません。

栄養学の知識も学んでおかなければなりません。

2017年2月26日日曜日

整体教養論|身体の歪み

第1節 背骨は歪み、身体が不調を来す

 一般的に、背骨とは、頚椎から胸椎・腰椎・仙骨・尾骨までを云います。背骨は椎骨と云われる骨が積み重なって出来ています。そして、背骨(せぼね)は脊髄と呼ばれる全身の感覚・運動を司る神経を保護しています。

 脊髄は背骨の左右前後から31対の神経が出て、身体の隅々まで張り巡らせて筋肉や内臓などを統括しています。

 私達はこの背骨(せぼね)のお陰で身体を前後左右に曲げたり、立って歩いたりすることが出来ます。

 このように柔軟に出来ていると云うことは、歪み(ゆがみ)が起きやすいことの裏返しなので、姿勢が悪い、ケガ、ストレス、偏った運動、暴飲暴食などで背骨の一部に負担がかかると歪みが起こります。

 そして、脊髄からでた神経に影響を及ぼし、腰痛・肩こり・頭痛などの障害が現れ、そのまま放置していると内臓器官まで重篤な病気になる可能性もあります。

 私達は、日常生活の中で、歩くことや姿勢を正す機会が少なく、ストレスにさらされ、バランスを欠いた栄養過多の過食状態に陥り、運動不足の傾向にあります。
 このような生活習慣や偏った社会生活で股関節や骨盤が歪むと背骨も歪みます。背骨が歪むと骨盤や股関節にも影響が現れます。

 結果として、前述したように、肩こり・腰痛・頭痛・生理痛などの身体の障害が現れてきます。そして、そのまま放置していると重篤な病気になる可能性もあります。

 そのような身体の歪みを調整して自然治癒力を回復させるのが整体などの代替医療です。ちなみに、欧米ではカイロプラクティック・オステオパシーなどの整体は医師の国家資格です。

 「未病」と云われる、お医者さんに行っても病気とは云われず、そうかと云って体調が良くない状態には、整体などの代替医療が効果を発揮しています。

骨格が歪むと太りやすくなる?
 歪みと肥満は大きな関係があります。消化や筋肉運動の関わる神経が傷害されることにより、消化器官や筋肉の働きが阻害され、エネルギー代謝が悪くなり、下半身デブ・O脚・ぽっっこりお腹などのやせにくい身体になってしまうのです。

むくみやたるみも歪みが原因?
 体型の悩みを持つ人達は多いけれども、その多くは身体の歪みが原因です。
 むくみやたるみも、身体の歪みによって内臓機能が低下して、水分代謝・脂肪代謝などが悪くなるために起こる現象なのです。

ぽっこりおなか・垂れ尻・O脚・X脚などの体型も歪みが原因?
 骨格の歪みが骨盤に出れば、内臓が下垂してお腹がたるむし、骨盤が緩めば尻は垂れるし、骨盤や股関節が歪めばO脚やX脚など足のラインに影響します。

ストレスも身体を歪ませる?
 悲しみや精神的ストレスは、うなだれた姿勢になりやすく、身体は歪みやすくなります。また、ストレスは、消化器官の働きを悪くし、心臓など循環器を異常に働かせます。こうして、医学的には内臓体表反射と云って背骨の歪みに関連します。

性格が歪みを作る?
 歪みの傾向を見れば、その人の性格も分かる?!
 胸を張っている人、前かがみでうつむきかげんな人等をみると、ある程度性格が分かると一緒で、身体の歪みで性格が類推可能なのです。


第2節 歪みのパターンとなりやすい病気                            

歪みの検査法  (1)と(2)の検査法を合わせて行い歪みを推定します。

(1)足踏みチェック
 目を閉じて、50回その場で足踏みをします。手を大きく振り、ももを高く上げます。
 足はどの方向にズレましたか?
 基本形は次の6パターンです。

大きく分類すると、つぎのパターンがあります。

① 前傾(ぜんけい) ② 後傾(こうけい) ③ 左傾(さけい) ④ 右傾(うけい)   
⑤ 左回旋    ⑥ 右回旋  ⑦ 複合型 … ①から⑥が合併した歪み

(2)動作チェック

 目を閉じて、1分間、両足のつま先を揃えて立たせます。
 平衡感覚を失い、身体の歪みの特徴が出ます。ロンベルグ現象と言います。

① 前傾  自然に前後に動く動作が現れ、前傾動作が多くなります。
② 後傾  自然に前後に動く動作が現れ、後傾動作が多くなります。
③ 左傾  自然に左右に動く動作が現れ、左傾動作が多くなります。
④ 右傾  自然に左右に動く動作が現れ、右傾動作が多くなります。
⑤ 左回旋 自然に左回旋動作が多くなります。
⑥ 右回旋 自然に右回旋動作が多くなります。



歪みパターン別の特徴
 不思議なことに歪み方によって性格やなりやすい病気の傾向があります。それは、同じような脊柱の曲がり具合では、自律神経も同じような影響を受けると考えられます。

① 前傾   感情より理屈を優先するタイプ
つま先に重心があり腕と膝が身体の前に出ています。
背が高くやせた人に多い。
背筋が伸びて姿勢がよく見えますが、背中や腰に緊張があります。
胃の疾患に注意。
  
② 後傾   内向的で几帳面なタイプ
かかとに重心があり身体全体が後ろに傾き顔はうなだれた姿勢です。
丸みをおびてふっくらした体型に多い。
上背部と肩に緊張があります。
狭心症や高血圧症に注意。

③ 左傾   積極的で理論より感情を重視するタイプ
左肩と左腰が下がり、頭は右に傾いています。重心は左足。
胃腸が丈夫なので、食べ過ぎに注意。
糖尿病や心臓病に注意。花粉症やアレルギー疾患にも注意。


④ 右傾    理論より感情を重視するが内向的なタイプ
右肩と右腰が下がり、頭は左に傾いています。重心は右足。 
肝臓病に注意。  



⑤ 左回旋   協調的な性格だが優柔不断なタイプ
上体が左にねじれ、右肩が前に出ている。疲れるとあごを左斜めに突き出す傾向。
腎臓・膀胱など泌尿器の病気に注意。


⑥ 右回旋    行動的・闘争的で負けず嫌いなタイプ
上体が右にねじれ、左肩が前に出ている。疲れるとあごを右斜めに突き出す傾向。
腎臓・膀胱など泌尿器の病気に注意。

整体教養論|整体における刺激の法則

整体では、筋肉・骨格・神経・内臓などに刺激を与えて、身体の歪みを調整しますが、整体的刺激は、患者さんの状態により使い分けることが重要です。

第1節 刺激の種類

① 求心性刺激と遠心性刺激

マッサージ(Massage)ということばはフランス語ですが、ラテン語の「手」(Manus)と同一語源であるとされています。

マッサージは皮膚にオイルやクリームを用いて、求心性(きゆうしんせい)の刺激(手足など末梢(まつしよう)から心臓に向かう刺激)を与え、血液・リンパの還流(かんりゆう)を促すものです。

指圧のように、ツボ・反射区・トリガーポイントなど生体に現れる反応点を対象として施療する手技療法は、遠心性(えんしんせい)の刺激(心臓から末梢器官に向かう刺激)を与え、体表からの反射により内臓・神経・筋の機能を調節します。

② 整体における押圧(おうあつ)の基本手技とその作用

  押圧法の操作は、「触る」「押す」「離す」からなります

押圧する圧の強さでの分類
 1.軽圧法(けいあつほう)(軽く心地良い)
 2.快圧法(かいあつほう)(気持ち良い)
    … 母指圧で10kgから15kg圧が標準です
 3.強圧法(きようあつほう)(痛いが不快でなく我慢できる)

押圧の仕方での分類
 1.通常圧(基本的な押し方で普通の呼吸のリズムでの押圧です)
 2.緩 圧(加圧は徐々に一定圧に達する押し方で通常の2~3倍の時間をかけます)
 3.衝 圧 (一定圧を加えた後、さらに衝撃的に加圧します)
 4.持続圧(快圧法または強圧法で持続的に押す方法です。30~60秒持続させます)
 5.振動圧(一定圧のまま小刻みに震わせて刺激を与えます)
 6.撫 擦(加圧したまま皮膚の上を撫でさするもので、軽擦と強擦があります)

整体法は、生体に対して、以上のような押圧刺激などを加えることにより、生体の異常を調節します。

押圧刺激の強度を加減することによって、生体の機能を亢進(働きを活発にする)したり、逆に抑制(働き過ぎないようにする)したりすることができます。

生体の異常を判別して、必要な適量刺激を与えなければなりません。


第2節 人体に対する効果

① 皮膚及び皮下組織に対する効果
 皮膚に対しての触・圧刺激(触ったり押したりする刺激)は、皮膚及び皮下組織に分布する毛細血管の血流を増加させ、汗腺や皮膚呼吸など生命活動を盛んにし、皮膚の温度を高めます。即ち、体表が若々しく健康になるということです。

② 筋組織に対する効果
 筋肉中の血液やリンパの流れを促進させ、老廃物や有害物質等を排除し、新鮮な血液を送り、筋組織に酸素や栄養素等を行き渡らせ、筋肉の緊張を解消し、筋肉の疲労の回復、筋の運動能力の拡大に効果があります。。

③ 神経系に対する効果
 強い刺激は、抑制的・鎮静的に作用します。(=神経の働きを止める作用です)
 穏やかな刺激は、促進的・興奮的に作用します。(=神経の働きを促す作用です)

  例えば、「胸焼け」と「消化不良」に対する施療法は違います。
 「胸焼け」は胃が働きすぎて、胃酸が食道まで上がってきてしまう状態です。働き過ぎいているのですから強い刺激で施療します。貴方が既に、東洋医学を学習しているなら、胃が実証と分かりますよね。実症には強い刺激です。
 「消化不良」の場合は、胃の働きが悪いのですから、東洋医学的には胃の虚証で、反対に弱い刺激で働きを促す施療をします。

 解剖生理学的には、筋肉・神経に対する刺激とその興奮性に関してアルントシュルツの法則というものがあります。

{アルント・シュルツの刺激法則}
      弱い刺激は生体機能を鼓舞(こぶ)し、
      適度の刺激はこれを亢進(こうしん)し、
      強い刺激はこれを抑制(よくせい)し、
      最も強い刺激はこれを停止する。
               
★アルントシュルツの刺激法則は、整体施療上、非常に大切な法則ですので、しっかりと記憶して下さい。

この法則から
刺激量が多い状態(ドーゼオーバーといいます)だと
生命活動を弱める事になり
施術部位の生命活動を弱めてしまうことになり
効果を上げれないことになります。

また、症状によりどういった刺激を与えていけば良いかがわかります。

☆ 麻痺や知覚鈍麻といったような症状には
   興奮を喚起させればいいので弱めの刺激で施療します。

☆ 痛みや痙攣、筋緊張といったような症状には
   鎮静させてあげればいいので強めの刺激で施療します。


④ 循環器系に対する効果
    血管に反射的に作用して、整体直後は、血管の内圧が高まり、一時的に血圧が上昇しますが、すぐに、血管が拡張され動脈血流が促進され、身体全体の循環機能が促進されて、 血管内圧が下がります。また、リンパの流れも改善されるとともに、病気を防ぐリンパ球が増加し、免疫系の活性も高めることが確認されています。

⑤ 消化器に対する生理作用

 背部、腹部などの施療により、胃液分泌亢進、消化機能亢進、食欲増進が期待されます。


第3節 気持ち良いのが一番

 これまで学んできたことで分かるように、整体やマッサージを受けていて一般的には気持ち良いのが一番です!

 強すぎて痛い状態だと刺激過剰になり、筋肉は刺激が強ければ防御するため硬くなります。筋性防御という状態がおこり、筋肉を緩めるはずが逆に硬くなってしまいます。

 また、筋肉に強い刺激を与えれば、筋肉を傷めてしまう可能性もあります。
 また、弱すぎても受けた感覚がしないでしょう。

 気持ちが良く、眠くなりそうなくらいの刺激が一番良いのです。自律神経の副交感神経が優位になりリラックスし、血管は拡張して、消化器系の内臓の働きも良くなります。

 生理学的にみてみると、刺激の量によって内臓を始めとした生命活動がどう関係するかというと、弱い刺激では組織の働きを目覚めさせ、強い刺激では組織の働きを抑制します。非常に強い刺激は組織の働きを静止させてしまいます。身体の活性化には逆効果になります。

 これは「アルントシュルツの法則」でしたね…。神経痛や過度の筋緊張状態では強めの刺激、東洋医学では実の証の場合です。麻痺や知覚鈍磨などは弱めの刺激を与えていきます。
      東洋医学では虚の証の場合です。整体・マッサージに慣れてくるとどんどん強い刺激を求める人がいます。実は、痛いほどの強い圧が気持ち良いと感じてしまっているからなのです。整体・マッサージの受けはじめに刺激量の多い刺激を受け続けるとこういった傾向があります。強い刺激に慣れてくると、感覚がどんどん鈍くなります。そして、もっと強い刺激を求めてしまうようになります。こういう悪循環が始まってしまうと弱い刺激には戻せなくなってきます。

 強い刺激を求める方には、アルントシュルツの刺激の法則を説明して、せいぜい、「イタキモ」(痛くて気持ちいい)ぐらいの刺激が良いと説明できるようにしましょう!


★ 「いやなもの反射」という副交感反射があり、痛みを伴う施療をすることもありますが、整体師もベテランになってからの手技療法です。

2017年2月24日金曜日

整体教養論|自然治癒力と血流障害

自然治癒力と血流障害

整体法やリフレクソロジーなど代替医療の効果は一般的に認知されています。
アメリカなどでは、整体の一種であるオステオパシーやカイロプラクティックは医者の資格です。
これら手技療法の最も大きな効果は自然治癒力の回復・増進です。
では、自然治癒力とはどういうものでしょう?

第1節 自然治癒力とは

自然治癒力とは、人体を健康な状態に維持し、ケガや病気を治す力を広くひとまとめにした表現で、人間がもつ生命力そのものです。

自然治癒力は、

恒常性維持力)=(ホメオスタシスと言います)、自己防衛力、自己再生力から成ります。

本来、これらの自然治癒力の機能は、私たちの身体に自然に備わっているものです。
しかし、内的・外的なストレスによって、自然治癒力は乱される事はご存じですよね…。

① 恒常性維持力とは、健康な身体の状態をいつでも一定に保とうとする働きです。
例えば、外気の温度が極端に変動しても、身体は熱を放散したり熱を生成して、体温が極端に上がったり下がったりすることはありません。
また、水を飲みすぎても、多量の汗をかいても、尿の量を調節するホルモンの作用によって、体内の水分量は常に一定に保たれます。運動によって筋肉の酸素の消費量が増えれば、心臓の脈拍は早くなって血液循環を促進します。

② 自己防衛力とは、細菌・微生物・ガン細胞、その他の有害物質に対して身体を守る働きです。

③ 自己再生力とは、キズついた細胞組織を、新しく健康な細胞に作り治す働きです。
例えば、この力がなければ手術で切除された臓器は切除されたままで再び正常に回復することはありません。
また、身体の表面にできたキズもふさがらず、やがて、その部位は腐っていってしまします。


第2節 自然治癒力に関わる器官  

自然治癒力に関わる組織器官には次のようなものがあります。

① 神経系 

 神経は表皮、爪、髪、関節軟骨には存在しいていません。
 それ以外の組織には広く分布して、身体の内外の情報を収集して調節・統合し、生命保持に必要な判断をして各器官に適切な命令を伝えています。
   機能的には運動神経(体および内臓)と知覚神経(体および内臓知覚)に大別ますが、臓の運動・知覚に関係するものは、自律神経と言います。

② 免疫系 

 はしかやおたふく風邪は、一度かかると二度とかからないのはご存じですね。
 病原体を専門に対応する白血球のB細胞が一度目の侵入を記憶し、二度目の侵入に対し抗体を生産して防衛します。ワクチンによる抗体産生も同じです。
 免疫とは、大まかには、「自己」と「非自己(ひじこ)」の認識をして、非自己を排除する働きをいいます。

③ 内分泌系 

 ホルモンは甲状腺・副腎・膵臓の膵島などといった内分泌腺でつくられ、血液中に分泌され、特定の生理機能を活性化したり抑制したりします。
 例えば、血糖値を上げたり下げたりは内分泌系の働きです。
 神経とともに身体の恒常性を保ち、身体の内外環境に対応する調節機構です。

④ 循環器系 

 血液は体重の約8%、5~6㍑、1回の心臓拍動で約60ccが押し出されると言われます。
 血液の主な作用は、下記の通りです。
       ア)栄養物質の運搬と代謝老廃物の排出、
       イ)体液の浸透圧(しんとうあつ)やpH、体温など恒常性の維持、
       ウ)免疫反応で細菌やウィルスなど身体にとって有害な物質を排除、
       エ)止血作用(血小板の働きです)

*神経に栄養を与え、免疫に関わる白血球を体内に循環させ、ホルモンを目的の組織に運ぶなど、①②③の系統にとって循環器系は必要不可欠な系統です。
 

第3節 自然治癒力低下の大きな原因

 自然治癒力が低下する大きな原因は、「循環不良」「血液汚濁」です。
 循環不良と血液汚濁の原因は、体内外のストレスと過食です。

 整体法は、血液循環の改善を最大の目標とします。

 血液汚濁は、食べ過ぎ・飲み過ぎ、偏った食事、運動不足に起因しますので、患者さん本人に生活習慣の見直しを指導することが求められます。


① 血液の循環不良が起きると
     
 栄養物質の運搬が阻害(そがい)されますので、阻害された組織の機能が悪くなります。
   内臓の血流が阻害されると、その内臓の働きが悪くなります。
     
   代謝有害物質の排出も阻害されますので、コリや痛みが起こります。
     
   pH(酸性とアルカリ性の度合い)や浸透圧(膜を通して、濃度の低い溶液から濃度の高い溶液に溶媒が移動するように働く圧力のことを指します。
   漬け物を塩で漬けることで理解できます)などのホメオスタシスが乱れます。
     
    細菌など有害物質の侵入に対して、白血球などの運搬が不十分で免疫機能が十分に発揮されない結果となります
     
    機能を促進させようとする器官にホルモンが運搬されず、神経機能も低下します。
    神経の機能を保つ血液循の環不良で、神経は痺れや痛みを引き起こします。
   
★ このように見てくると、循環器系が、自然治癒力に対して、最も大切な機能を果たすことが分かります。
     整体法は、血液循環の改善を最大の目標とします。

② 血流不足が神経機能に及ぼす影響は
     
 血流不足(神経には栄養血管があり神経に栄養を与えている)は、神経機能を低下させ、痺れや痛みを引き起こす原因となります。
     
   神経の機能低下が起こる状況でも痺れや痛みのない神経もあります。
   顔面神経、自律神経は痛みを感じず、内臓も痛みを感じる神経は少ないそうです。
     
   炎症が起きたり、外傷や疲労などで身体が損傷を受けると、細胞から発痛物質が産生され痛みを起こします。
  (発痛物質には、ヒスタミン・ブラジキニン・プロスタグランジンなどがあります)
     
   すると、痛みにより交感神経が緊張し、末梢血管は収縮し血液循環は悪くなり、更に発痛物質が増加して痛みを増すという悪循環になります。
   

③ 神経機能を回復させる考え方
   
 正座をしていて足が痺れるのは、膝窩動脈(膝の後ろの血管)の圧迫で、下腿にまわる血液が止められ神経が働かなくなったためです。
   このことは、血流が阻害されると神経に異常を来すことを証明しています。
     
   誰でも痛みや痺れがあれば神経に何か問題が起こっていると考えますが、痛みや痺れを感じにくい内臓などは相当な機能障害や病気になるまで神経が充分に働いているのかどうかを見分けにくいのが現実です。
     
   即ち、知覚神経は、痺れ・痛みが起こるから異常を知ることができますが、自律神経は知覚のない神経で、異常を発見するのが遅れてしまうのです。
     
   但し、自律神経の場合も、コリなどが血行不良を起こし、血行不良が神経機能低下を招くことから、神経の出口である脊柱の横の凝り・痛み(異常は関連痛として発現する)を診て、筋肉の凝りを取り、関節の拘縮を治せば神経機能が回復すると考えられます。
     
   この機序が、整体法で身体の不具合を改善できる理屈ですが、神経機能低下の多くは、関節において障害を受けていることが原因です。
   特に自律神経・感覚神経・運動神経の出入り口である脊柱の関節は重要です。
     
   関節機能異常には、筋肉と靱帯が関連しているので、異常のある関節まわりの筋肉を緩めることと、靱帯の弾力性を回復させ関節を正しい位置に戻すことが重要な施療となります。    
     
   実際の施療例を挙げれば、下肢の冷え性は、腰椎以下の椎骨神経の血流阻害か、股関節などの関節における血管の圧迫などの血流障害、自律神経の乱れ、更には熱産生機能のある筋力不足が考えられます。
     
   筋肉の過緊張を取り、股関節や椎間関節の拘縮を解消して、下肢の血管の拡張・収縮・血流を支配している腰椎椎骨神経の働きを回復することで改善できます。
   筋力不足は、患者さんに運動や自療体操を指導することで増強できます。
     
   特に内臓の病気に関しては、脊柱の周囲のコリや圧痛のあるところ(ブラジキニン、ヒスタミン、プロスタグランジンなど、発痛物質が貯留するため圧痛が生じる)は、椎骨が変位し、コリと血流阻害が起こり、椎骨神経に充分な栄養を供給できないので、神経は機能低下を起こし発病すると考えられます。
     
   逆に、内臓の機能異常が、脊椎のまわりに関連痛となって現れ、椎骨変位・コリ・痛みを引き起こすこともあります。


④ 神経機能を調和させる刺激の方法
   
 治療の目的は、神経の働きを亢進することと、抑制することです。

   神経が抑制され、筋肉や臓器の活力が低下している時は、⇒ 支配神経に刺激を与え、運動機能や代謝機能を高めます  ⇒ 軽く揉みます    … 東洋医学では補法と言います。

 神経が興奮状態で、筋肉や臓器が異常に働きすぎている時は、 ⇒  支配神経を抑制し、正常な活動に戻します   ⇒ 強く揉みます  …    東洋医学では瀉法と言います。

 例えば、「胸焼け」と「胃もたれ」の場合を考えてみましょう。
 胸焼けは、胃酸過多で、消化器が悪く働き過ぎている状態です。
        ⇒ 胃の反射区を強く刺激すると効果的です。
 胃もたれは、消化器の働きが悪くなっている状態です。
        ⇒ 胃の反射区をソフトに刺激すると効果的です。

* 東洋医学の実症・虚証を、もう一度復習しましょうね。

2017年2月23日木曜日

整体教養論|病因と治癒の理論

血液・リンパの循環不良を改善することが自然治癒力を増進することを学びましたが、
血液がドロドロに汚れていては自然治癒力を十分に発揮することができません。

患者さんの食生活を中心とした日常生活を指導して整体の効果を高めるために、病気の原因と治癒の理論を学びましょう。

現代医学でも有名な医学博士も提唱している理論です。



第1節 病因(病気の原因)
 
 病気の原因 ↓                                   治 療  ↓

「万病一元、血液の汚れから生ず」 → 血液を浄化(不要物を排出する)

全ての病気の原因は、血液がドロドロに汚れることに起因すると言われます。
病気を治すには、血液の不純物を排出してサラサラな血液にすることです。

東洋医学の病因論に、三因論と言うものがあります。

① 外因    :六淫と言われ、気候によって病気になります。
           風暑火湿燥寒(ふうしよかしつそうかん)は身体を傷つけます。
                         風邪は肝を傷め、暑は心を痛め…。

② 内因    :七情と言われ、心の持ち方で病気になります。
           怒喜思憂悲恐驚(どきしゆうひきようきよう)の感情は身体を傷つけます。
                         怒は肝を傷め、喜んでばかりいると心が緩み…。

③ 不内外因 :①と②以外の病気の原因を言います。
           飲食・労倦(ろうけん)(=厳しい労働)・房事(セックス)・外傷など




第2節 血液を汚す原因
 

血液を汚す最大の原因は 

→ 「過食」「食い違い」と「冷え」「運動不足」「ストレス」が大きな原因です。
 
病気になると、自然治癒力が働き、

→ 「食べないこと」と「発熱」で血液浄化して病気を治します。
   食欲不振と発熱は、病気を治そうとする身体が要求する自然の摂理です。

食欲不振 … 病気の時は、食物摂取(せつしゆ)により血液を汚さないために食物を取らないように身体の自然治癒力が働きます。

そして、消化器官を休ませ排泄活動を活発にして、老廃物や身体にとって不要物を排泄して、      血液をきれいにします。

発熱   … 血液を汚す原因の過剰栄養物質や老廃物の処理を活発にして血液を浄化するためです。また、発熱すると白血球の働きが活性化して、ウイルスなどを排除します。

野生の動物は、病気になると食を断ち、熱を出し、じっとして治す術を知っているので、死ぬまで元気で過ごせます。
寝たきりキツネや脳梗塞で半身不随のタヌキはいないようです。



第3節 血液の汚れが病気をつくる

A. 過食 … 食べ過ぎのことです。摂りすぎた栄養物質により、次のような病気になります。   
            
過剰物質 = 脂肪⇒高脂血症・脂肪肝、塩分⇒高血圧、プリン体⇒高尿酸血症(痛風)、糖分⇒ 高血糖症(糖尿病)、コレステロール⇒女性ホルモン異常で乳癌・子宮頚癌・卵巣癌、男性ホルモン異常で前立腺癌



B. 食い違い … 個々の生物の食性に合った正しい食事をしないと、血液を汚します。⇒血液成分に過不足が生じます。

人間の持つ歯を考えれば、どういう食事が合っているか分かります。
歯の形状に従って、消化器官や排泄器官が用意されているのです。
肉食動物の腸は短く、草食動物の腸は長いのはこの為です。
欧米人と日本人の腸の長さも違うのですよ。
肉食の多い欧米人の方が短い腸を持ちます。

人間の歯 = 大臼歯3・小臼歯2・犬歯(けんし)1・切歯(=門歯2の配列で左右と上下に32本あります。

臼歯=穀物用、門歯=野菜・果物用、犬歯=肉・魚用⇒植物性食品を90%、動物性食品を10%が正しい食事です。

象や牛は草しか食べません。
平べったい歯しか持たないからです。
それでも大きな筋肉を持ちます。

ライオンやトラはとがった歯を持ち肉だけを食べます。

1960年代以降、欧米的に、肉・卵・乳製品を食べ過ぎるという食い違いが食習慣となり、血液中の成分過剰や老廃物の増加で血液の汚れがひどくなった結果、癌(がん)・脳梗塞(のうこうそく)・心筋梗塞(こうそく)・糖尿病・痛風・脂肪肝などの生活習慣病が激増しています。


C. 運動不足 … 運動不足で筋肉を使わないと、
→ 熱産生が低下して、体温が低下し血流不良となります。
→ 血液中成分の燃焼や老廃物の排泄が悪化して血液がドロドロになります。
→ 免疫を司る白血球の働きが悪化します。

体温を上げるには
→ 赤い筋肉と云われる遅筋(背筋や身体の深層に多い)を鍛えることで基礎代謝を活発にすることが重要です。
→ 適度な運動で、特に下半身の筋肉を働かせて、筋ポンプ作用により血流を促します。

注意  =  尿酸値の高い人は、エネルギー代謝が亢進すると尿酸が大量に産生されるので、有酸素運動を心がけましょう。


筋肉と静脈と神経は、ほとんど一体となって身体中に配置されております。

静脈の血液還流は筋ポンプ作用によるところが大きく、運動不足で筋肉を使わないと、体温が低下し、筋ポンプも働かなくなり、血流も悪くなります。

運動不足になると、筋肉は熱を発生しなくなり、身体が冷えて、血液中成分の燃焼や老廃物の排泄も悪くなって、血液が汚れてくることになります。

運動不足は冷えを引き起こし、肩こりや筋肉痛にもなります。
筋肉の冷えにより、疲労物質や発痛物質が局所に溜まってしまうからです。

反対に、運動で体温が上がると、栄養成分が燃えやすくなり、老廃物も排泄され、白血球の働きも活発になり、血液の浄化が進むます。

体温が上がると風邪などもひきにくくなり、自然治癒力も上がります。腋窩(えきか)(脇の下)の体温が36度以上を目指しましょう。


D. ストレス … ストレスを受けると、副腎髄質からアドレナリンなど抗ストレスホルモンが分泌さ             れ、ストレスに対抗しますが、その分だけ、免疫力を低下させます。
        
戦うための器官のみが活動し、生きるための器官の機能が低下します。      

その結果 → 排泄器官の機能が低下し、血液が汚れることになります。

ストレスは、副腎髄質からアドレナリンなど抗ストレスホルモンが分泌され、交感神経を刺激して、
血管を収縮し血圧を上げますが、免疫力を低下させます。



E. 冷 え  … 身体が冷えると、深部体温37度の平常体温で代謝、燃焼、排泄されていた栄養物質や老廃物が、正常に処理されなくなります。また、白血球の免疫機能も低下しますので病気になりやすくなります。

→ 老廃物や過剰物質で血液が汚れます。
→ 身体を温めて、老廃物を燃焼させ、血液を浄化することが必要です。





第4節 身体の反応 = 血液浄化作用(自然治癒力)


西洋医学で云う多くの病気は、身体が病気を治そうとしている活動自体を指すこともあります。

例えば、風邪の時の、くしゃみ・鼻水・咳・痰に対しては、これらを止める薬を使いますが、身体は、血液を浄化するために老廃物を排出したり、発熱して燃焼しているのです。  
   
また、湿疹・ジンマシン・化膿に対して、西洋医学では、抗ヒスタミン剤やステロイドホルモン剤で湿疹を止めようとします。

東洋医学では、葛根湯などで身体を温め発汗を促し、発疹の原因である老廃物を汗や尿とともに排泄させようとします。



第5節 身体から有害ミネラルを排出する = 解毒(Detox)


カドミウム・ベリリウム・水銀・砒素・鉛などの有害ミネラルは、脂肪細胞に結合し、代謝に関わる酵素の機能を低下させ、肥満・疲労・内蔵機能障害・老化などを引き起こします。

私達は、これらの有害なミネラルをなるべく摂取しないようにすることが健康を保つことです。
しかし、防腐剤・農薬・環境汚染・着色料・防酸化剤などを使った食品に囲まれており、また、自然の食品にも微量の有害物は含まれています。
普通の生活をしていると、否応なく、多くの有害ミネラルを摂取してしまっているのです。

そこで、身体から、有害ミネラルを排出することが重要となります。
これをデトックス(解毒)と言います。

解毒をするには、次のような力を高める必要があります。

    ①毒を運ぶ力を高める:特に下半身の筋肉を鍛えて、適度な運動をして、筋ポンプを働かせ、リンパ・静脈の流れを良くすることです。

  ②毒を解毒する力:解毒をする肝臓・腎臓の機能や泌尿器・排泄器の機能を高めることです。

  ③毒を排泄する力:毒を排泄する泌尿器・排泄器の機能を高めることです。

* 整体法は、血液循環を良くして、肝臓・腎臓・泌尿器・排泄器など内臓の調子を整える効果がありますので、解毒効果があると言えます。


患者さんに教えること

    ①舌運動:唾液に含まれるラクトフェリンが毒素の吸収を防ぎます。舌を良く動かし、唾液をたくさん出しましょう。
    ②毒抜きヨガポーズ:仰臥位、四肢を上げて細かく運動30秒を、1日に2ないし3回行うと良いでしょう。
   
    ③タマネギ:タマネギは最強の解毒物質ケルセチンを347mg/kg、リンゴは72mg/kg、ブロッコリーは30mg/kg含有しています。これらの解毒食品を食べるよう教えましょう。
                 
    ④肝臓・心臓の機能を高めるタウリンを多く含むイカ・タコ・貝や、中性脂肪を減少させ、血液をサラサラにするDHA(ドコサヘキサエン酸)を含む青魚を食すように教えましょう。



第6節 病気を防ぐ食材
 

1)糖尿病(Ⅰ・Ⅱ型に強力効果)
    黒米(シアニジンの抗酸化力)

2)癌
        ピーナッツの芽
        スプラウト(ブロッコリーの芽)

3)生活習慣病 = やせる    テレビの健康番組によると…
  
          特 賞  ガジュジュツ(紫ウコン)…シネオール 
    1等賞 ゴーヤ茶…共役リノレン酸    
    2等賞 エゴマ油(αリノイレン酸) 
           3等賞 氷豆腐…BCAA(アミノ酸の1種)
    4等賞 サメ油(シムノール)   
         5等賞  羊肉…カルニチン



第7節 断食療法の効果

 吸収は排泄を抑制します。断食により一時的に胃や腸を休ませると、排泄の方に エネルギーが 向きますので、大腸、腎臓、汗腺、皮脂腺、子宮、涙腺、口腔粘膜、鼻粘膜など排泄に関わる器 官の機能が増進します。

 循環器、呼吸器、内分泌系臓器、神経系が休息できます。

 体内の過剰物質や老廃物がエネルギー源として使われ血液が浄化されます。

 自家融解と言い、病変のある組織(腫瘍、炎症など)の蛋白質まで利用するようになると、病気 の組織は消失します。また断食は、白血球の貪食作用を高める研究結果もあります。

 消化吸収と排泄と云う相反する機能は、同時にうまく働きません。
 胃腸への血液供給が少なくなると、心臓の血液を押し出す量は少なくてすみ、心臓の負担も軽く なり、肺の酸素摂取も少なくてすみ、肝臓などの解毒器官も休息でき、体内の働きを統合してい  る脳や神経、内分泌系臓器も休息できます。

 養鶏場の鶏は、卵を産み始めて1年半で老鳥となり、卵を産まなくなり、廃鳥としていました。こ  の鶏に2週間の断食をすると、2%は死ぬが、残りは更に1年半ほど卵を産むようになります。こ れを強制換羽といいます。死ぬ2%もストレスによるもので断食は若返りの証拠にもなります。

2017年2月22日水曜日

整体教養論|整体とは…その役割

第1節 未病

身体の具合が悪く、気になる症状があれば病院に行くと思います。
そして色々な検査で異常がなければ一安心でしょう…。

しかし、
気になる症状がいつまでも解消されないでいることはありませんか?

もしかして体の歪みが原因?

正解! そうなのです。
予想以上に多くの場合、身体の歪みが原因です。  

「多少は不快だけど、命に関わるわけでもなさそうだし、検査では悪いところもないし、まぁ、いいか……」のような状態を「未病」といいます。

病院の診察や検査で、その不快な部分に異常がないということであれば、その場所と他の部分とがお互いにきちんとしたバランスを取り合っているか(歪みがないか)どうかを
チェックしてみましょう。 

病院の検査で分かるのは、腰、肩、首、耳、目、胃、肝臓などの組織や器官そのものに
異常があるかどうかということです。
これを調べるのはもちろん大切で、本当に病気の場合は、それを治すのは病院の役目です。
  
しかし、病院で異常がないといわれたが、不快な症状がある場合は、不快な場所を中心にして身体のバランスが正常かどうか、すなわち、身体に歪みがないかどうかを調べて、
修正することで回復する可能性は大きいのです。

歪みのチェックは、腰の位置と肩の位置と首の傾きをチェックすることです。
それによって、背骨の曲がり方が推定できます。

実際は、伏臥位で、背骨の棘突起の並びを触診して決定します。

第2節 筋骨性の歪み  ⇒ 外因性の歪み

1回か2回の整体で、身体の不調が楽になった!という場合、
それは「筋骨性の歪み」である場合がほとんどです。 

筋肉・骨は、打撲・捻挫などで筋肉が損傷したり骨折などを起こさない限り、ひとつひとつの筋肉・骨は組織的には正常と言えます。

しかし、筋肉は縮んでしまったり、緩(ゆる)んで伸びてしまっている状態で、筋肉としての機能が充分に果たせず、骨格を歪ませたり、コリや痛みとなって現れます。

人体はたくさんの骨や筋肉が複雑につながり合ってバランスを保ちながら、快適な動きができているわけですが、外的障害や生活習慣などで、バランスがどこかで乱れ、骨格が歪むと、身体全体の動きに影響し、痛みや不調につながっていきます。この状態を「筋骨性の歪み」といいます。

例えれば、自転車のチェーンがはずれた状態です。
チェーン自体が切れた訳ではありませんから、はめ直せばもと通り動きます。

1回か2回の整体で、チェーンを元に戻して痛みや不調が消えるような場合は、もう1回か2回来てもらい、チェーンに油を注しておくことです。後は月に1回くらい、または疲れた時に来て、バランスを整え、ネジを締め直して、チェーンに油を差せば大丈夫です。
しかし、筋骨性の歪みも、そのまま放置しておくと慢性化して、他の筋肉・骨格部位のコリや痛みとなったり、心臓・肺・肝臓・胃など内臓の不調となるので、注意が必要です。 

例えば、偏った姿勢や運動で、右肩が下がった体型になると、肝臓を圧迫し続けて肝臓を疲れさせます。そうなると、ますます肝臓をかばって右に傾いた姿勢を取るようになります。胃が痛い時は、猫背で前屈みの姿勢となることを思い起こせば理解できるでしょう。
動物は具合が悪いところをかばう姿勢を知っているのです。それがますます身体のバランスを崩す結果となります。

筋骨性の歪みでも侮れないのです。

第3節 内臓性の歪み ⇒ 内因性の歪み

長い間、整体や指圧・マッサージ等どこに通っても不快症状が改善しないという場合は、
筋骨性の歪みのみが原因ではありません。

現代では、偏った姿勢や偏った動きのような外的要因からの身体の歪みではなく、内臓の疲れのような内的要因からの内臓性の歪みが多くなってきております。 

現代人は、「人間・会社関係のストレス」「夜ふかし」「睡眠不足」「昼夜逆転の生活」「食べ過ぎ」「飲み過ぎ」「遅い時間の食事」「食べてすぐの就寝」「肉食過多」「運動不足」など、これらがひとつも当てはまらない人ほぼいないのではないでしょうか。 

これらの生活習慣が長期に渡って続くと、内臓に大きな負担をかけます。

特に、胃や肝臓といった「消化器系」にしわ寄せのくることが多いのです。すると、荷物を常に右肩で持つなどの外的要因がなくても、身体は疲れた胃や肝臓を中心として左、もしくは右に傾きます。これが内的要因から起こる体の歪みです。 

心臓もストレスから大きな影響を受けます。
ストレスを受けると、自律神経のうち交感神経が優位となり、血管を収縮し血圧を上げ、心臓が疲れます。 

内臓性の歪みを修復するには、背部と腹部の整体が非常に重要となります。


第4節 整体の役目

骨折など大ケガは、まず病院で手当を受けます。

そのケガが治った後、そのケガによって受けたショックを取り除いたり、受傷部位を中心とした全体のバランスの歪みを整え、原因不明の偏頭痛、肩こり、生理痛、便秘等のもとを解消するのが整体の役目です。

胃潰瘍、心筋梗塞、虫垂炎などの病気は、病院での治療が最優先です。

整体は、病気になる前に、心臓が疲れやすい体質、胃腸に負担がかかりやすい体質などを
身体の歪みから推定して、そうならないような体のバランスに整えていきます。  

身体の各部分(腰や肩、首、耳、目、胃、肝臓その他の器官)が、偏った生活習慣などによりバランスを崩すと、どれか一部の器官に負担がかかり続けて痛みや不調の土台になります。

この時点では未病で、痛みや不調はあったとしても病気ではない状態です。
単にその器官か組織の働きを抑え込まれているか(東洋医学では虚といいます)、逆に、働き過ぎている状態(東洋医学では実といいます)です。

それが長い間続くと、ついには負担がかかっていた部分そのものが本格的な病気になっていきますから、その前に全身から眺めたお互いのバランスを取り直し、一部分だけにかかっていた負担を解放してあげれば、病気を未然に防ぐことができます。  

また、不幸にして病気にかかってしまっても、病院での治療により回復したならば、再び同じことを繰り返さないように、負担のかかりやすい部分に再び負担がかからないように
バランスを整えていくことができます。

要するに、ケガでも病気でも、その前後で起こる不調に対応することに、整体の役目があるのです。 
さて、その「整体」ですが、広辞苑によると「手技によって骨格のゆがみや異常を整え、健康増進をはかる民間療法。オステオパシー・カイロプラクチックの類。」とあります。

ここから分かりますように、「整体」とは「体を整える」目的を持つ様々な療法の総称ということができます。

しかし、他に「整骨」「接骨」など似たような言葉があるため、紛らわしく感じることがあります。
「整骨」は広辞苑では、「ほねつぎ。接骨。」となっており、「整骨」と「接骨」は同義語だと言えます。これらは「くじいたり折れたりした骨をつぎあわすこと」が仕事で、

整体は「骨折や捻挫などの怪我がなく、医学的には異常がない身体のバランスを整えること」が仕事になります。  

*整体教養論は、整体法独習教本の内容よりも、患者さんやお客様との接客では、重要となることもあります。

整体教養論|整体の若返り効果

整体の効果につきましては、詳しくは入門編教材をご覧いただくと分かりますが、
最近になり、若返り効果があると言うことが科学的に解明されています。

即ち、定期的に整体施療を受けている人は、若々しさを保てるということになります。
特に、血管年齢のアンチエイジングに効果的です。

第1節 「糖化」も老化の原因であった!

「酸化」が老化の大きな原因であることは知られていましたが、酸化よりも老化を促進するのは「糖化」であることがニュースになっています。 

糖化とは、体内のたんぱく質が食事によって摂取した「糖」とが結びつくことです。
糖化は、生きているかぎり、身体の中で繰り返され、体内のタンパク質と結びつき、AGEsという劣化たんぱく質が蓄積され続け、皮膚・血管・筋肉・骨などが老化していきます。

現在、医療界では「酸化」よりも「糖化」のほうが健康と美容に大敵といわれています。

血液中の血糖値が高い状態が慢性的に続くと、脳・神経・血管・筋肉・骨なども、機能が衰えることが証明されています。

肌が糖化すると、コラーゲン線維の弾力が低下して肌のハリがなくなり、たるみが起こり、シワになりやすくなり、さらに、肌色のくすみも生じます。
動脈が糖化されると、コラーゲンが劣化タンパク質であるAGEsに変成し、血管の壁に蓄積し、動脈が厚く、弾力性を失い、硬くなって血管が狭くなります。 


第2節 体幹前屈の「硬いか?柔らかい?」で血管・筋肉の若さが分かる

身体が硬いという場合、次の場合が考えられます。
   ① 関節可動域が狭い
   ② 筋肉が硬い

①の関節可動域を拡げるのは、整体の最も得意とするところですが、ここでは、②の筋肉が硬い場合を考査します。

筋肉が硬い場合、筋肉の中にある「コラーゲン」という、細胞と細胞を結合し、組織を支えるタンパク質の一種が、変成していることが大きな原因と考えられます。
コラーゲンは、皮膚・血管(平滑筋という筋肉と弾性繊維で出来ている)・筋肉・腱・靱帯・骨などの組織を組成し支持しています。

このコラーゲンが「糖化」 すると、弾力性が無くなり、筋肉・血管は硬くなり、伸びなくなります。
即ち、「身体が硬いということは、筋肉や血管が糖化している=老化している」と推定されます。


第3節 整体はなぜ若返り効果があるのか?

筋肉を気持ちよく引き伸ばすという操作で、次の効果が期待できます。
糖化されたコラーゲンが壊れる
② コラーゲンやヒアルロン酸を作る繊維芽細胞(結合組織を構成)が活性化され、再生が促進できる
③ 内皮細胞から血管を柔らかくする一酸化窒素(NO)が分泌される
④ 副交感神経優位となり血管が広がり、老化した細胞の修復・再生が速くなる


特に、ストレッチして効果的なのは、
前屈では、脊柱起立筋・大腿二頭筋・半膜様筋・半腱様筋・下腿三頭筋、
後屈では、大腿四頭筋・腹直筋・腸腰筋、
側屈では、肋間筋、
更に、大臀筋・中臀筋・横隔膜・僧帽筋・ 広背筋・腰方形筋を操作しましょう。

筋肉を、母指圧や手掌圧で押圧する手技も、
筋肉を直接ストレッチすることですので、
糖化したコラーゲンを壊し、繊維芽細胞を活性化し(⇒コラーゲンの再生)、一酸化窒素を分泌させ(血管を柔らかくする)、血管を広げ、筋肉・血管を弾力性がある若々しいものとします。

国立健康・栄養研究所がおこなった研究では、半年間ストレッチを継続したグループでは血管年齢が平均でおよそ10歳若返ったという結果が出ているそうです。

2017年2月20日月曜日

整体教養論|内臓体表反射

伏臥位で患者さんの上半身を触診して内臓の調子を診ます。
整体師にとって患者さんの健康を維持する重要な理論です。

内臓の不調は、背中など身体の表面に反射して、コリや痛みとなって現れることを、内臓体表反射(ないぞうたいひょうはんしゃ)と云います。

逆に、体表のコリや痛みを施療すると、内臓の機能増進に効果があることを、体表内臓反射(たいひょうないぞうはんしゃ)と云います。

整体法は、人体のこのような生理的反射を利用して施療します。

東京女子医科大学成人医学センター所長の横山泉医学博士は、腰背部の内臓体表反射について次のように発表しています。

背中を押されて「気持ちが良い」と感じたら身体の不調の現れ、「痛い」「感覚がおかしい」と感じたら病気の前触れかもしれません。
これらは身体の異常を知らせる危険信号なのです。


整体法では、肩こり・腰痛・頭痛・慢性疲労など表面的な症状でも、大元の内臓の不具合を推定して施療することも重要です。

背中の内臓の反射部位は必ず覚えておきましょう。
背中を整体法で施療しているときに、患者さんの背中のコリや痛みを感知できればこの患者さんのどの内臓が疲れているのかが推定できます。

背中は、中枢神経である脊髄が通っていますので、それから枝分かれして内臓や筋肉などを管轄する末梢神経が集中しています。
身体の変調を最も早く知らせる場所なのです。

参照
  内臓体表反射と類似のものに、トリガーポイントというものがあります。
  例えば、胸鎖乳突筋の拘縮に伴う圧痛点が原因で頭痛が起きる、大腿四頭筋の圧痛点が原因で膝痛になると云う反射もあります。

1.心臓
心臓が働き過ぎです。
動脈硬化や高血圧に注意しましょう。


.胆嚢
意外かもしれませんが胆嚢です。
背中に現れる痛みやコリは内臓の位置と一致するわけではありません。
狭心症は左胸だけではなく、左脇の下から左腕内側に痛みが出る場合もあるのは有名です。


3.胃
腹八分目の節度ある食事を心がけましょう。
プチ絶食なども効果的です。


4.肝臓
良く寝ることと高タンパクの食物を摂ることが大切です。
立って仕事などをすると、血液が肝臓に充分に補給されず、肝臓を修復するために時間がかかります。
とにかく寝ることが大切です。身体を横にすることで肝臓に循環する血液量が増大します。また、肝臓はタンパク質でできていますので、肝臓を修復するには良質のタンパク質が必要なのです。

5.膵臓
膵臓の神経は、胃のすぐ下にあります。
アルコールを飲み過ぎたり、油っぽい食物を摂りすぎた後に、背中が痛くなったら膵臓の使いすぎです。

6.十二指腸
脾臓ではなく十二指腸です。
十二指腸には、胆嚢から胆汁が、膵臓から膵液が分泌され、食物の消化に関わる重要な器官です。
また、精神的ストレスにも影響を受けやすく、十二指腸潰瘍などになりやすい器官です。


7.腎臓
腎臓が不調になると、腎臓に沿って痛みが出る場合と脇腹の裏側に出る場合があります。
腎臓には、タンパク質の分解産物や塩分を体外に排出する機能がありますが、弱っているときはタンパク質や塩分の摂取を制限しましょう。
女性に比較的多い腎盂炎では脇腹の背中側を軽くたたくと飛び上がるほどの痛みを感じます。
むくみを伴うときは腎炎の疑い、何もしないのに突然差し込むような痛みは腎結石の疑いがあります。


8.骨粗鬆症
女性の骨粗鬆症は閉経機を境に増加します。
女性ホルモンの不足で骨の形成が遅くなるためです。
脊椎の棘突起を押してチクチクした痛みを感じたら、骨粗鬆症の疑いがあります。
目に見えないほどの非常に微少な骨折がある時に、このような背骨の痛みを感じます。
なってしまったら、女性ホルモン療法が効果的と云われます。


9.膀胱・大腸・小腸・子宮・精巣
最も多いのが大腸・小腸の疲れです。
慢性的にコリがある女性の場合は婦人科系の疾患にも注意が必要です。



* 痛みだけでなく、「かゆみ」も病気の前兆です。
   貧血症・腎臓病・糖尿病の疑いもあります。

 全身にかゆみが起こり、まぶたの裏側が白い時は、貧血症の疑い。
 身体と顔色が悪く、全身に頑固なかゆみがある時は、腎臓疾患の疑い。
 全身に強いかゆみがあり赤ら顔でほてりがある場合は、糖尿病の疑い。

2017年2月19日日曜日

整体教養論|免疫と自律神経

(1)交感神経と副交感神経のアンバランスが体調を崩す

身体は、大きく分けると、骨格系・筋肉系・消化器系・呼吸器系・循環器系・内分泌系・感覚器系・神経器系となりますが、ストレスを最初に受けて支障を来すのは神経系です。

神経には、脳と脊髄の中枢神経とその中枢神経から枝分かれし臓器や器官組織を結ぶ末梢神経があります。

更に末梢神経は自分の意志で動かすことのできる体性神経と自分の意志で動かすことのできない自律神経がありますが、脳が命令しなくても、生命を維持するために心臓や消化器官を動かしている自律神経は、ストレスを受けると最初に支障を来します。

免疫学で有名な新潟大学の安保徹教授の研究では、多くの病気の根本原因は自律神経の異常から起きると云います。

また、整体・指圧・鍼灸など手技療法は自律神経を調整する大きな効果があります。
教授は、指揉(ゆびも)みという薬指以外の指先を痛いくらい強く揉む方法でも自律神経を調整できると発表しています。
自律神経は、約60兆の人体細胞の働きを無意識のうちに調整しています。

交感神経は、主に運動時や昼間の活動時に優位になる神経で、心臓の拍動を高め、血管を収縮させて血圧をあげ、消化器官の働きを止めて体を活動的な体調に整えます。

副交感神経は、食事の時や休憩時に優位になる神経で、心臓の拍動をゆるやかにし、血管を拡張して血流を促し、心身をリラックスモードに整えます。
また細胞の分泌や排泄を促す働きがあり、副交感神経が優位になると消化液の分泌や排便が促進されます。
体調が良く健康な時は、交感神経と副交感神経のバランスがとれていて、上がり下がりが極端に急になりません。

前述しましたが、交感神経と副交感神経のバランスを崩すのはストレスです。
ストレスを受けると先ず交感神経優位に傾きます。
交感神経が緊張状態になると、血圧が上がり、動悸がして、食欲が低下し、長期間続くと体調不良から病気になります。

病気の多くは交感神経の緊張持続に起因しますが、交感神経の緊張状態が続くと、身体は守りの態勢に入り、副交感神経が優位になります。
守ること自体は良いのですが、守りすぎは良くありません。
ストレス過剰で鬱病(うつびよう)になるのも、年々患者数が増えているアレルギー疾患も副交感神経の過剰反応なのです。

体調が崩れている時は、交感神経の過緊張か副交感神経の過剰反応が起きているのです。


(2)顆粒球とリンパ球の働き

免疫力があるというのは、「丈夫で病気をしない・病気にかかっても治りが早い」と云うことです。

後述しますが、新潟大学大学院医学部安保教授の研究で、白血球に占めるリンパ球の状態を調べることで、その人に、その時に免疫力があるかどうかが分かるようになりました。

血液は、液体成分の血漿(けっしょう)と赤血球(せつけつきゆう)・白血球(はつけつきゆう)・血小板(けつしようばん)の細胞で出来ています。

免疫に関わるのはこの内の白血球です。
白血球は、約60%が顆粒球(かりゅうきゅう)、約35%がリンパ球、約5%がマクロファージです。

しかし、
顆粒球とリンパ球の割合は、
ストレス・天候・時間の流れでも変動します。

また、
顆粒球が増えればリンパ球は減り、
リンパ球が増えれば顆粒球が減るような仕組みとなっています。

■リンパ球を活性化する神経は、
くつろぎ休む時に働く副交感神経です。
リンパ球は、侵入してきたウィルスや異種タンパクなどの小さな異物を抗原抗体反応(こうげんこうたいはんのう)などで食い止める働きがあります。
リンパ球は細胞膜(さいぼうまく)の上にアセチルコリン受容体(じゆようたい)と云うものを持っていて、これが副交感神経からの命令を受けることになります。
アセチルコリンは血管の拡張を行う神経組織に含まれ、ストレス・睡眠不足などで副交感神経が働かなくなると、血行が悪くなり、アセチルコリンが発生せず、リンパ球が減少し、免疫力が低下して体調を崩すことになります。

■顆粒球を活性化する神経は、
ストレス時に働く交感神経です。
顆粒球は、細菌や真菌(しんきん)(カビの種類)など大型の異物が体内に侵入してくるといきなり食べてしまう貪食能(どんしょくのう)があります。
しかし、細菌を食べた顆粒球はすぐに死んでしまいます。
死ぬ時に顆粒球は活性酸素(かつせいさんそ)と云う毒をまき散らします。
活性酸素も適度ならば人体に役立つのですが、継続的に過剰になりますと組織を傷つけたり癌(がん)を誘発します。
顆粒球の細胞上にはアドレナリンと結合する受容体を持っていて、これが交感神経の命令を受けます。

自己防衛システムでありながら、
病気の原因にもなる顆粒球を支配するのが交感神経なのです。

■マクロファージは、
休憩時も活動時も働き、
リンパ球と顆粒球の両方の働きを持っています。
マクロファージは、交感神経の支配を受けるアドレナリン受容体と副交感神経の支配を受けるアセチルコリン受容体の両方を持っているからです。



(3)白血球に占めるリンパ球の割合で免疫力が分かる

新潟大学大学院の安保教授が、1万人を対象にリンパ球の比率と病気の発生の関係を調査しました。

副交感神経の働きが悪くなると、リンパ球が減少し、交感神経が優位になると顆粒球が多くなるのですが、リンパ球の割合で下表のような結果が出ました。

白血に占める白血球の割合

健康な人のリンパ球は、35%から40%で、病気を撃退できる安全圏です。

深部体温も約37度、腋窩体温36度以上が、免疫力が発揮できる健康体温です。

不快症状や病気のある人のリンパ球の比率は、減少し、体温も低下します。
(温泉療法・下半身浴などで体温を上げることでリンパ球が増えて免疫力が高まる理由です)

逆に、リンパ球の比率が50%以上に増えても、アレルギー疾患などとなり、体温も低下することが分かりました。

私達は継続的に強いストレスに晒されると、自律神経のうちの交感神経を強く緊張させ、それによって血管が収縮し、全身的な血流障害を起こすのです。
こうして生じた血流障害によって、筋肉には、疲労物質や痛みの原因物質が蓄積され、やがて患部で組織破壊が起こってきます。

従って、一般的に、治療に当たって大切なことは、交感神経優位に傾いた自律神経を、副交感神経をより働かせることで、そのバランスを取り戻すことにあります。

整体で、患者さんを気持ち良くさせるだけでも大きな効果があるのです。

安保教授のグループの研究で、ツボ刺激が、交感神経の働きを抑え、適度に副交感神経を働かせる作用があることが証明されたのです。

治療前と治療後の血液を採取して検査した結果、顆粒球とリンパ球に明らかな変化があったのです。

ツボを刺激するとリンパ球が増え、顆粒球が減少するのです。 これは交感神経の働きを抑え、副交感神経の働きが活発化されている証拠なのです。

そして、リンパ球が増加すると言う事は、人間の免疫力が増加する事を意味し、ツボの刺激効果は、人間の免疫力を高める作用があるということになるのです。


次の節から、もう少し詳しくまとめていきます。

大切なのは、代替医療としての整体・リフレクソロジーなどによるツボや反射区への刺激は、副交感神経を優位にしてリンパ球を増やし、免疫力を高めて様々の症状を改善できることを理論的に記憶して下さい。

患者さんに対応する時に、医学的な裏付けがあれば、自信を持って施療することが出来ます。


第2節 免疫
                                                                             
整体法を始め、リフレクソロジー・指圧・鍼灸などの代替療法は、自律神経の働きと密接な関係があります。

刺激の方法によって、自律神経を刺激して、内臓組織などの機能を抑制したり、促進したりすることが可能です。


(1)免疫力 = 自然治癒力
                                                       
人間の身体には、外部から侵入したウィルス・細菌などや体内でできたガン細胞などの異分子と戦って、自分の健康を守る力があります。

しかし、30歳ぐらいから免疫力が低下してきます。

ちなみに、癌は40歳以上から多く発症しますが、これは免疫力が低下するためと考えられています。

免疫力は、血液の中にある白血球が関与しています。
そして、白血球に影響を与えるのは自律神経です。

血液は、血漿(けつしよう)と云われる液体成分(約55%)と血球(45%)から構成されています。

血球には、組織に酸素を運ぶ赤血球、免疫に関与する白血球、出血時に止血の役目を持つ血小板があります

そして、これらは骨髄で作られます。                        
                                                                               
(2)免疫に関与する白血球

 免疫に関与する白血球は、リンパ球・単球(たんきゆう)・顆粒球(かりゆうきゆう)に分類されます。

①骨髄で生まれたリンパ球の内、一部は心臓の上部にある胸腺(きようせん)と云う器官に送られて異物を見分ける教育を受けます。

こうして教育を受けたリンパ球はT細胞と呼ばれ、殺し屋(キラー)・助っ人(ヘルパー)・抑(おさ)え役(サプレサー)の役割分担をします。      

キラーT細胞 … 病原菌やウィルスに感染した細胞や腫瘍(しゆよう)細胞を殺します。  
ヘルパーT細胞 … B細胞に抗体を作る情報を送り、B細胞の働きを助けます。  
サプレッサーT細胞 … 免疫反応が過剰になった時にそれを抑えます。  
     
②胸腺に送られなかったリンパ球は、B細胞やNK細胞と呼ばれます。           

B細胞 … ヘルパーT細胞から情報を得て、抗体という1度体内に侵入した細菌・ウィルスなどに対して抗体(こうたい)を作ります。抗体は、体内に侵入してきた細菌・ウイルスなどを抗原(こうげん)として認識して体内から除去するように働きます。麻疹(はしか)やおたふく風邪は1度かかると2度とかからないのはB細胞が抗体を作るからです。インフルエンザの予防注射も身体に軽いインフルエンザウィルスを入れて抗体を作るのです。                        
NK細胞 … ナチュラルキラー細胞と云われ、生まれながらの殺し専門の細胞です。しかし、ストレスの影響を受けやすくストレスにさらされると抵抗力が落ちます。                            

③ 単球は、血管から出てリンパ節等の組織に移るとマクロファージ(大食細胞)と呼ばれます。顆粒球も食作用がありますが、マクロファージは顆粒球の10倍の食作用があり、大食細胞(たいしよくさいぼう)と呼ばれます。              
                                                                               
④ 顆粒球
顆粒球は血液の流れに乗って全身のパトロールにあたり、体内に侵入した細菌や細胞の死骸などを食べて分解し身体を守ります。
細菌の侵入した傷口には、顆粒球が大量派遣されます。
顆粒球は細菌・真菌(カビ類)などの大きな異物を食べて処理し、リンパ球はウイルスやガン細胞などサイズの小さな異物を処理するという具合に、異物の種類と大きさによって役割が分かれます。
マクロファージは異物と顆粒球やリンパ球の死骸を処理する働きがあります。

しかし、問題はここなのです。
顆粒球の寿命は2~3日で、死ぬときに大量に活性酸素を放出します。
体内の活性酸素の約8割は顆粒球が放出したものです。
活性酸素は、増えすぎるとその強力な酸化力で臓器や血管などに障害を与えます。動脈硬化、ガンといった症状や病気の引き金となります。 
 
交感神経の過緊張 ⇒ 顆粒球の増加 ⇒ 活性酸素の増加 ⇒ 身体組織・臓器の障害
と云う経路で、病気になります。


 (3)体液とは? = 血液・組織液・リンパ液                                                                              
血管の中を流れている血液の、液体部分の一部が、血管の壁を通って血管の外に出ます。これが組織液(そしきえき)です。

組織液は、細胞のすきまを埋めて細胞に酸素・栄養を配り、細胞が活動してできた老廃物を流し去ったりする重要な役割をしています。

動脈から浸み出してきた組織液は、細胞のまわりで仕事をしたあと、静脈の壁を通って血管に戻りますが、戻りきれなかった液体は、下水管の働きをするリンパ管を通って鎖骨の下にある静脈に排水されます。
リンパ管に入ったものをリンパ液と云い、主に血漿と白血球の一種であるリンパ球から構成され赤血球は含まれていません。(従って赤い色をしていません)

組織液と血管・リンパ管とのやりとりがスムーズに行われないと、細胞の周りの結合組織(コラーゲンやヒアルロン酸などから成ります)が余分の組織間液を含むようになってしまい、むくみの原因となります。

むくみは、整体法・リフレクソロジー・アロママッサージなどによって、改善することが可能です。

また、反対に、老化によりコラーゲンやヒアルロン酸と云う物質が減少すると、必要な組織間液を保持できずシミ・シワの原因ともなります。

第3節 自律神経 
                                                                     
(1)自律神経 

人間の身体は約60兆の細胞から構成されていますが、自律神経はこの膨大な数の細胞の働きを無意識に統括・調整している神経です。
 
自律神経は心臓や血管、消化器官、汗腺など内臓諸器官の働きを調整しています。
自分の意志でに関わらず働くことから自律神経と呼ばれています。

自律神経には交感神経と副交感神経があり、両者はそれぞれ正反対の働きをして、身体のバランスを取っています。

交感神経は主に運動時や昼間の活動時に優位になる神経で、心臓の拍動を高め、血管を収縮させて血圧をあげて、身体を活動的にします。活動の神経、戦いの神経と云われます。また、ストレスを感じた時にもストレスに対抗するために優位になります。

副交感神経は食事や休憩時に優位になる神経で、 心臓の拍動をゆるやかにし、血管を拡張して血流を促し、心身をリラックスさせます。
また、副交感神経が優位になると消化液の分泌や排尿・排便が促進されます。
リラックの神経、くつろぎの神経と云われます 。


(2)安保(あぼ)・福田理論
(安保・福田理論では、白血球の総数と顆粒球・リンパ球の割合を知ることで心身の状態が推察できる研究を進めて成果を上げています)  

  安保 徹 博士  (新潟大学医学部大学院教授)                  
  福田 稔 先生  (昌平クリニック)            
          
 先生達の研究結果をまとめると次のようになります。
 繰り返しになりますが、整体施療の効果についての大切な理論です。

 交感神経も副交感神経もどちらかに偏りすぎると身体に悪影響を与えます。 

「多くの病気の原因は、交感神経の持続的緊張がもたらす血流障害と白血球のアンバランス(顆粒球の増加による組織破壊)にあります」                
                                                                               
ストレスや冷えにより交感神経の緊張状態が続くと、血管を収縮させ、全身的な血流障害を起こし、筋肉や内臓などに疲労物質や痛みの原因物質が蓄積され、やがて痛みや機能不全が起こります。

また、体液は弱アルカリ性でければ十分な働きをしませんが、交感神経緊張時にはアドレナリン・ノルアドレナリンと云う物質が分泌されますが、この物質は酸性で体液を酸性に傾かせます。
(アルカリ食品は身体に良いということを聞いたことありますか?)

このような症状には、交感神経優位に傾いた自律神経を、副交感神経をより働かせることで、血液の流れを良くし、そのバランスを取り戻すことです。
ちなみに、副交感神経優位時にはアセチルコリン・βエンドルフィンなどと云う物質が分泌されて、体液をアルカリ性に傾かせます。

交感神経が優位になると、白血球のうちリンパ球が減少し、顆粒球が多くなります。

実験の結果、ツボを刺激するとリンパ球が増え、顆粒球が減少します。
これは交感神経の働きを抑え、副交感神経の働きが活発化されている証拠であり、リンパ球が増加すると云うことは免疫力が増加する事を意味します。
つまり、ツボの刺激効果は免疫力を高める作用があるということです。

副交感神経が持続的に過敏になると、リンパ球の数が増えすぎて、身体に入ってくる様々な異物に対して過剰な反応を示し、アレルギー症状となります。

また、副交感神経の働きが過度に継続すると、血管拡張で血液の流れが緩やかになりすぎ、静脈が血液を還流しきれなくなり、「鬱血(うつけつ)」を引き起こし、有害物質が蓄積しやすくなります
この状態でストレスを受けて交感神経緊張するとアトピー性皮膚炎や花粉症が発症しやすくなります。

のぼせは典型的な鬱血症状(うつけつしようじよう)(静脈血が対流している様態)です。
また、副交感神経優位が長く続くと小児喘息(しようにぜんそく)なども招きやすいとされます。

従って、治療に当たっては、副交感神経優位に傾いた自律神経を、交感神経をより働かせるようにすることで、そのバランスを取り戻すことです。

実験の結果、ツボを刺激するとリンパ球と顆粒球のバランスを調整できることが確認されています。                

食べ過ぎ、肥満、運動不足、過保護などで過剰にリラックスしすぎていると、身体は、これではいけないとエネルギーの消費を上げるため、交感神経優位となり、心拍数や血圧を上げ、心臓などに負担をかけることとなります。
太った人や食べ過ぎた時に心拍数が上がり呼吸が速くなるのはこの為です。

過剰なリラックスの行き着く果ては、交感神経緊張の結果となります。  
         
第4節 白血球 
                                                                     
自然治癒力に関わる白血球についてまとめてみましょう。

白血球   5000~8000/mm3
顆粒球    … 
3600~4000/mm3(白血球の54%~60%)   
身体に炎症がある時は1~2万個/mm3に増え、白血球全体の90%に達することもあります。
血液検査で顆粒球が正常値を超えている時は虫垂炎(ちゆうすいえん)、 扁桃腺炎(へんとうせんえん)、肺炎などの発症が疑われます。
顆粒球は血流に乗り、全身をパトロールしています。                              
大型の細菌や真菌(カビの総称)を食い殺します。
細菌の侵入した場所へ 大量動員されるとともに、骨髄で増産されます。            
 好中球・好酸球・好塩基球がありますが、95%が好中球です。                    
寿命は2~3日と短く、死ぬ間際に活性酸素をまき散らします。           普段でも、身体全体から発生する活性酸素の80%が顆粒球から放出されます。
顆粒球の数が正常ならば活性酸素の害はありませんが、顆粒球が増えて放出量過剰になると弱った組織の粘膜が酸化され異常を来たします。   
活動時には交感神経優位になりアドレナリンが分泌されますが、顆粒球にはアドレナリンレセプターがあり、交感神経優位時に顆粒球が活性化します。                        
   
リンパ球   …
2200~3000/mm3(白血球の35~41%)        
若 い人ほど多く、加齢とともに減少する傾向にあります。                          
T細胞とB細胞が連係して、極小さなウィルスや異種タンパクを「抗原(こうげん)] とみなし、「抗体(こうたい)」を作り、身体を守ります。
NK細胞は太古のなごりでマクロファージの食機能を引き継いで おり、交感神経の支配下にあります。パーフォリンと云うタンパ ク質を分泌してガン細胞を殺しますが、 癌患者は強い交感神経緊張状態にありNK細胞も増えているが、パーフォリンの分泌機能を司どる副交感神経が抑制されているため、ガン細胞を殺せなくなっています。
      
*副交感神経優位時にはアセチルコリンが分泌されますが、リンパ球にはアセチルコリンレセプターがあり、副交感神経優位時にリンパ球が活性化します。      

 単球  :
リンパ系に入りマクロファージと呼ばれるものになります。            
アメーバー状態の免疫細胞で、体内に異物が入るとこれを食べたり、くっついて殺したりします。顆粒球、リンパ球の祖先です。                    

 マクロファージは、交感神経・副交感神経双方の刺激を感知、顆粒球は交感神経、リンパ球は副交感神経の刺激を感知して活性化します。      

   天気の良い日は高気圧(酸素が濃い)      天気の悪い日は低気圧(酸素が薄い)
      →活動的→交感神経優位                      →休憩モード→副交感神経優位  
   活動的になるとケガしやすい                   食事は異種タンパクやウィルスが侵入
      →傷口の細菌を処理する顆粒球を           →顆粒球で処理不能なリンパ球を必要
        必要とする                                   とする                          

                                                                             
*身体の酸性・アルカリ性は、食べ物のみでなく、自律神経に関係します。      

 一般的に、動植物は全体としては中性です。
動物の場合、体液は弱アルカリ性、胃は 強酸性、腸は弱アルカリ性です。                                              
*黒目(瞳孔(どうこう))を観察すると、自律神経の状態が分かります。

ご自分の黒目の大小と位置で自律神経状態を調べてみましょう。                      

     水浴して黒目が大きくなる          自律神経の                    
     温浴して黒目が小さくなる            バランスが取れている  

     交感神経優位  ⇒ 黒目が大きい ⇒ 黒目の位置が内向き        
     副交感神経優位 ⇒ 黒目が小さい  ⇒ 黒目の位置が外向き        

     黒目の位置が中央の時は自律神経のバランスが良い状態と考えられます。        


* 激しい運動・肉食・怒り・ストレス・水浴など                              

                 ⇒交感神経優位となります                                      
                 ⇒ アドレナリン、ノルアドレナリなど分泌 されます              
                 ⇒ 血液酸性に傾きます                                                


* ハイキング・野菜食・喜び・入浴など                                

                 ⇒ 副交感神経優位となります                                  
                 ⇒ ドーパミン、β-エンドルフィンなどが分泌されます                              ⇒ 血液アルカリ性に傾きます                                  
                                                                               


整体は、自律神経を整えて、リンパ球と顆粒球の割合を変え、自然治癒力を増進し、
健康を回復・維持します。

患者さんやお客様には、「整体は身体に良いんです」と言うだけでは信用されません。
この章の理論を、自分で説明できれば、整体の効果は更に上がります。
効果を信じて施療しているのか、効果は分からなくて施療しているのかで、全く違います。
 医学博士が証明してくれているのですから…。
 自信を持って整体施療を行いましょう!

第5節 副交感神経刺激法の例(リンパ球を増やす方法)
                                                                     
副交感神経を刺激するとリンパ球が増加します。
リンパ球が増加すると免疫力が高まります。

整体法・リフレクソロジー・鍼灸・指圧などの代替医療が副交感神経を刺激することはすでに説明しましたが、以下のような方法も報告されています。


1.グリチルリチン酸の摂取(せつしゆ) … 甘草(かんぞう)(ステビア)として漢方薬に使われます        
      抗炎症作用(こうえんしようさよう)、副交感神経刺激作用を持つ物質です。                        
      ステビアの濃縮液が花粉症や糖尿病に良いとされています。          


2.刺絡療法(しらくりようほう)

手足の爪の生えぎわには、
井穴(せいけつ)と呼ばれるツボがありますが、
ここに針を刺して少量の血液を出血させることで、
自律神経と免疫機能を調節して、
顆粒球とリンパ球のバランスを整え、病気を治す治療法です。
 
いろいろな難病に効果があることを安保-福田理論で実証しています。

井穴の刺激(本来の井穴のみでなく爪甲根部(そうこうこんぶ)両側で副交感神経刺激となる)
                母指 … 肺、気管支など呼吸系に効果。                        
        示指  … 胃腸など消化吸収系に効果。                          
                中指  … 臓器的には不明であるが、全身の血流改善に効果。      
                薬指  … 内臓全体の働きに関与するが、強い刺激は交感神経緊張。
                          副交感神経緊張で発症する小児喘息(しようにぜんそく)などに効果。        
                小指  … 心臓、腎臓など循環排泄系に効果。                    

手と足の第4指の井穴は、副交感神経の異常亢進を抑制します。

免疫異常の各種アレルギー疾患、 胃・腸痙攣・胆石痛、胃・十二指腸潰瘍・慢性
下痢症、月経痛・子宮異常出血、夜尿症、低血圧症などに効果的です。 


3.爪の生え際をもむ(安保-福田理論で推奨)

われわれ整体師は、鍼灸資格がありませんので刺絡療法が行えません。
刺絡療法ほど速効性はありませんが、続けて行うことで確かな効果が得られます。

患者さんに指導しましょう。
軽い刺激では効果がなく「痛いな」と感じる程度が適しています。。

刺激する場所は、手の指の爪の生え際の角あたりです。
右手の親指と人差し指で、左手の親指の爪の生え際の両方の角をはさむようにして、30秒ほどギュッと力を入れて押さえます。
これを親指、人差し指、中指、小指の順に行います。
一般的な病は、交感神経の過緊張に起因しますので、薬指は刺激しないようにしましょう。
同様に、左手の親指と人差し指で、右手の親指、人差し指、中指、小指を刺激してください。
これを毎日1~2回行うと効果が出てきます。                                                                    

「刺絡療法」や「つめ揉み」療法 は、
いやなもの反射(副交感神経反射)
と云う身体の防衛機能を利用したものです。

以前、学んだ「神経を抑制するには強く、神経を促進するには弱く揉む」と云う刺激の法則を思い出してください。
 
例えば、食べ過ぎ飲み過ぎで、胃が働きすぎて胃酸過多など交感神経緊張状態の時は、
少し強めの刺激を与えると、いやな物反射で副交感神経優位となり胃の調子が改善されます。                                                  
痛みを伴う程度の刺激を約10秒~30秒加えると、痛みを排泄しようとする反射が起こり、副交感神経優位となります。
(涙、よだれ、排尿、胃液分泌など汗を除く全てが副交感神経の支配下にあります)          
 酸っぱい物や苦いものを食べると唾液がでるのは、その味を薄めようとする副交感神経の働きで、その結果、交感神経緊張が解消されています。

4.その他の療法                                                                              
東洋医学では、人体には十二正経と八奇経が流れており、この経絡や経脈が、生体エネルギーの通路のような役割を持っていると云われます。

その生体エネルギーが電気的な性質を持っている事を、京都大学の中谷義雄(なかたによしお)先生が発見し、良導絡療法(りようどうらくりようほう)を考案しました。 

また、北里大学東洋医学研究所の間中喜雄(まなかよしお)先生が、経絡上の生体電流コントロール法(イオンパンピング)を考案し、この間中理論をもとに、磁気NS療法、金銀粒針療法、硬貨を用いる11円療法等が発表されました。 
これによって、鍼灸の資格を持たなくても、同等の効果を出せるようになりました。

この間中喜雄先生のイオンパンピング療法は、画期的な療法でした。
膝関節炎の痛みや坐骨神経痛の苦しみを瞬時にとり、その療法は、他に比類のないものでした。
間中理論に基づく、磁気や異種金属を用いる各種の応用療法が沢山案出されたのも、その効き目が素晴らしかったからです。

これらの療法の全てで、交感神経の過緊張の緩和やリンパ球の増加が見られます。
皆さんも研究してみてください。



5.鎮痛剤(アスピリン・インドメタシン・ケトロプロフェン等)の使用は…      
 
痛み止めの代表的な成分には、アスピリン、インドメタシンどがあります。

これらの成分は、体内でプロスタグランジンと呼ばれる痛み物質が作られるのをおさえる働きがありますので、痛みの緩和に効果があります。
 
しかし、プロスタグランジンは知覚神経を過敏にする反面、交感神経の働きを抑制していますので、回数を重ねて分泌を止めると交感神経異常緊張となり、顆粒球が増加して活性酸素が組織を傷つけることとなります。
 
アスピリンなど飲み薬と同時に、医師が胃薬を処方するのは、顆粒球が増えて、それがはき出す活性酸素が胃組織を痛めるからで、アスピリン自体が直接的に胃壁を傷つけるのではありません。

緊急の症状がひどい場合でなければ、出来れば鎮痛剤は使わない方が身体にはよいと云うことです。

2017年2月18日土曜日

整体教養論|腹式呼吸法

第1節 腹式呼吸とは?

人間に限らず、肺呼吸をしている動物の肺はその体の中のかなり大きな部分を占めています。
これは不必要に大いわけではありません。
必要だからこそそれだけの大きさなのですが、私達はそれを有効に使っているでしょうか?

貴方の呼吸は浅くないですか?
浅い呼吸を続けていると、脳の働きや身体の働きを十分に発揮できません。
肺の先端だけを使って呼吸しているのです。
それでは充分な酸素を身体の隅々まで行き渡らせることができていないのです。

また、人間の器官には、自分の意志で動かせない膵臓、肝臓などの植物性器官と、意志によって動かせる筋肉などの動物性器官があります。
植物人間という言葉は知っていますよね…。
意識はなくても内蔵などは正常に働いている状態です。

植物性器官は基本的には自律的で疲れを知らない器官であり、夜中に寝ているときでも休みなく働いています。

それに対して、動物性器官は強大なパワーを発揮するものの疲れやすい面があります。

動物が水の中から陸上に上がり、食べ物を求めて動き回るための適応の過程で、植物性器官もだんだん動物性器官、特に筋肉の支配を受けるようになります。
その中でも特に肺は随意筋(自分の意志で動かせる筋肉)の支配も受けるようになります。

つまりは、肺を使う呼吸というのは、植物性器官でもありますが、動物性器官である随意筋も使うため、疲れやすく、したがって充分に働かせにくくなっていると言えます。

腹式呼吸とは、不十分な呼吸を意識的に深く行い、肺の大きさに見合った本来の機能を最大に発揮させる手法と言えます。 

植物性器官を昼夜にかかわらず、また、私達が意識するしないにかかわらず、常に働いて生命を維持してくれるのは、自律神経です。

例えば、意識的に、心拍数を早くしたり遅くしたり、血圧を上げたり下げたりはできませんよね。

心臓、胃、腸、肝臓、膀胱、腎臓…、これらの組織は自律神経により調整されています。
自律神経は自分の意志では働かせることができません。

しかし、ひとつだけ自律神経を意識して動かすことができる方法があるのです。

それは、肺を仲介とした呼吸です。

特に、腹式呼吸は自律神経を調整しリラックスを得たり健康を回復したり、潜在意識に働きかけて能力を最大限に発揮することさえ可能なのです。

腹式呼吸でストレスを解消し、副交感神経状態(リラックス状態)に、そして脳波をα波状態にしましょう!

脳波がα状態では、健康を回復できるのみならず、記憶力が増加するなど、能力が最大に発揮できます。

まとめますと、

呼吸は、自律機能の中で意識して変えられる唯一のもので、
呼吸を通して、
心を沈静化(ちんせいか)し血流や血圧をコントロールできるし、
脳波や脳内ホルモンもコントロールできます。

脳は体重の約1/60ながら、心臓からの血量の約15%、肺が摂取する酸素の約1/5を必要としています。

普段の呼吸で、脳は酸欠状態のはずです。
又、脳細胞は再生されないから、その分、腹式呼吸で活性化を計る必要があります。









第2節 肺とその役割

下図は肺の簡単な図ですが、上部を肺尖(はいせん)、下部を肺底(はいてい)と呼びます。
塩谷博士は、いわゆるラジオ体操式の両腕を挙げたり、肩を動かしたり、胸を反らすような深呼吸について、それは肺尖にしか空気が入らない、むしろ「浅」呼吸であると言われます。 
肺はご存知のように酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出するガス交換の機能を果たしています。身体中を駆け巡った血液が体内での燃焼の結果としての老廃物である二酸化炭素を運んできて排出し、新たに新鮮な酸素を受け取ってまた身体に流れていきます。
もし呼吸が浅くて肺尖にしか空気を吸えなかったとしたら、肺底のほうにきた血液はどうなるのでしょうか。

新たな酸素は受け取れずにまた流れていかなくてはならないことになります。

それが現代人が陥っている「酸欠」の要因である、というのが博士の指摘です。 

肺底まで空気を吸い込むためには?

肺は横隔膜の上に繋がっています。横隔膜を引き下げることが出来れば、それに繋がっている肺も必然的に下に引っ張られて、より深く息を吸い込むことができます。 

しかし、この横隔膜は不随意筋です。本来は人間の意志で動かせる部分ではありません。

それではどのようにすれば横隔膜を引き下げることが出来るのか。
実はそれが腹式呼吸だということになります。
つまりは、下腹部を膨らませるように空気を吸い込むことで横隔膜を引き下げると、その結果として肺が下に引っ張られて肺底にまで空気を送り込むことができます。

下腹部を膨らませるように空気を吸うことによって横隔膜を引き下げる、ということが腹式呼吸のポイントです。 
   
第3節 腹式呼吸の種類

腹式呼吸にもいろいろな手法があります。

一度胸に空気を入れて、その後に肺底にも空気を入れるというものや、吸うときにお腹をへこませて、吐くときにお腹を膨らますという逆式(ぎやくしき)と呼ばれるものもあります。

正心調息法は、吸うときにお腹を膨らませ、吐くときにお腹を凹ますタイプの順式(じゆんしき)です。

古今東西に、腹式呼吸のやり方はいろいろありますが、正心調息法(せいしんちようそくほう)をご紹介します。

正(せい)心(しん)調(ちよう)息(そく)法(ほう)は、1902年生まれ、東京大学医学部卒、医学博士 塩谷 信夫先生が考案した呼吸法です。

発案者ご本人が100歳を超える高齢にもかかわらず健康でゴルフを楽しめるほどの健康長寿を保っています。
先生は、この呼吸法により健康はもとより、吐息(とそく)(息を吐くこと)の時に将来自分があるべきイメージを持つことにより数多くの成功も獲得しています。

提唱者が健康で成功していなければ、信用できませんよね。

ちなみに2006年11月現在きわめてお元気で105歳です。

正心調息法の説明の中では、丹田(たんでん)という言葉が出てきます。
丹田にもいろいろな説があるようです。
ここでは塩谷博士はそう考えているという意味での丹田の説明をします。
 
丹田の位置については、よく「臍下三寸(せいかさんずん)」などと言われます。
塩谷博士は、そう言ってしまうと丹田は体表にあると思ってしまいがちであるけれど、そうではないと言われます。

お腹と背中の真ん中、つまりは身体の真芯(ましん)にあるのが丹田であるというのが、博士の説です。






    
 第4節 鼻呼吸 
 
正心調息法は鼻呼吸が原則です。

他の呼吸法では「鼻から吸って、口から吐くと」というのがほとんどです。
塩谷博士はそれでは駄目だとは言われませんが、呼吸のために作られた本来の器官が鼻なのだから、できるだけ鼻を使いなさいと言われています。
したがって、正心調息法は吸うときも吐くときも鼻を使う「鼻呼吸」が原則になります。 

「鼻」の機能については、
「アレルギー体質は"口呼吸"が原因だった」西原克成先生著/青春出版社刊に詳しく書かれています。
鼻は、呼吸のための機能をいろいろ揃えています。

西原先生は言います。
『鼻は臭いを嗅ぎ取る、たんなる空気の通り道ではない。むしろ、生命進化がつくりあげた精巧なエア・コンディショナーであり、身体を守る生体防御(せいたいぼうぎよ)システムなのである。』

例えば、まず鼻毛は外から入ってくる大きなゴミを取り除くという機能があります。
また鼻の中の空気の通り道の皮膚表面には繊毛(せんもう)が生えていて、絶えず粘液が流れ、そこでハウスダスト等も取り除いて、鼻水で外に出してしまいます。
その奥には副鼻腔(ふくびくう)という空洞があり、そこを空気が通ることによって温度を調節し、100%近くまで加湿して体内に取り込みます。
寒くて乾燥した状態を好むインフルエンザ・ウィルスなども、鼻を通る段階で大部分が除去されます。

西原先生は、口呼吸(くちこきゆう)の弊害(へいがい)も書いています。

風邪をひいたときなどに腫れる扁桃腺(へんとうせん)は、重要な免疫器官です。
鼻で除去できなかった病原菌や異物もここで退治されてしまいます。扁桃腺が腫れるというのも、それらのウィルス類を退治しようと戦っているものです。

しかし、扁桃腺が本来の力を発揮できるのは、あくまで空気が鼻を通ってきた場合のことです。
本来の呼吸器官でない口で呼吸をしてしまうと、汚れて温湿度調整されていない空気が気管支や肺に直接流れ込むことになり、適度な湿度でない空気が肺胞にダメージを与えたり、扁桃腺に過大な負荷を負わせることになり、色々な免疫障害が生じやすくなります。

西原先生によると、最近よく聞かれる原因不明の難病・奇病の多くは、口呼吸に起因する免疫病であることが多いとのことです。
第5節 お尻すぼめ(肛門を締める)  
 
正心調息法の場合は肛門を締めるという動作を組み込んでいます。

肛門を締めることの効果は、医学的に次のようなものがあります。

お尻すぼめ(肛門を締める)の効用
           ①女性の更年期障害の改善、解消
           ②冷え性の改善
           ③便秘の解消
           ④尿失禁(にようしつきん)の予防、改善
           ⑤男性の前立腺肥大(ぜんりつせんひだい)の予防
           ⑥美容面でのヒップアップ効果
           ⑦膣(ちつ)の締まりの改善、感度アップ
           ⑧腰痛の改善
           ⑨男性の精力改善、勃起維持力(ぼつきいじりよく)アップ
           ⑩痔(じ)の予防、改善


肛門を締めるというのは、排便をするときの力の入れ方ではなく、むしろ下痢や尿意をこらえるときの力の入れ方です。

「充息(じゆうそく)」の説明のときにも触れますが、充息時には丹田に吸い込んだ空気を押し付けるという上から下への動作と、肛門を締めるという下から上への動作を、同時に行うことになります。 

最初は肛門をうまく締めることができず、とくに充息の時には一度キュッと締めても、息を止めている間にドンドン緩んでしまうという状態が続くと思いますが、この辺は慣れということも有ります。

日頃、肛門を締めるということに意識を向け、実践しておきましょう。
 








第6節 正心調息法(せいしんちようそくほう)の特徴  

正心調息法は、内科医であった塩谷信男博士が、子供の頃の病弱な体質を改善するために、様々な腹式呼吸法を体験しながら、自らに最適な手法を探っていった結果、創り上げられたものです。
60歳の頃には一応の完成を見ていたようですが、特にそれを人に伝えようとはされていませんでした。ところが91歳の誕生日の時、突然「この呼吸法をこのまま墓場に持っていってはいけない」という思いに駆られ、それからこの呼吸法に関する著作・講演等の普及活動を始められることになりました。

正心調息法の特徴

  ①根源的で簡易な呼吸法です。
 
  ②呼吸のステップの中に願望実現(がんぼうじつげん)のためのアプローチが組み込まれています。
       
        「吸息(息を吸う)」「充息(息を止める)」「吐息(息を吐く)」という各ステップに対    応して、自分の願望を過去形、または過去完了形で断言する形を取ります。
       
        そのことによって、宇宙無限力を取り込み、健康に限らず自らの願望実現を図    ることができます。 
       
  ③近年注目されている健康に関する手法が、自然に組み込まれています。
       
        近年、口呼吸の弊害が花粉症や自己免疫疾患の関係で叫ばれるようになってき    ています。
       
        また、更年期障害の予防、改善、尿失禁とか冷え性の改善に絡めて「お尻すぼめ」    の手法も、健康雑誌などでも取り上げられるようになってきています。
       
        正心調息法には、「鼻呼吸」とか「肛門を締める(お尻すぼめ)」とかの方法が、そ    のステップの中に自然と組み込まれています。 
 
  ④実修するに当たって、細かな禁止事項とか強制事項がありません。

         もちろん基本的な原則、パターンはあるわけですが、あまり細かなところで「あ       あしろ」「こうしろ」という制約条件はありません。
        
         例えば、実修する時間帯は、朝でも昼でも夜でも、実修中に邪魔が入らない時    間帯ならいつでも構いません。
      吸うのは何秒、吐くのは何秒というような時間的な目安もありません。
          呼吸の長さは人それぞれであるから、自分のペースで実修するのが良いし、継     続して実修していくうちに、自然と長くなってくるものだというのが博士の考え        方です。
 
  ⑤難行苦行を要求しません。無理をしないことが原則です。

          呼吸法を実践すること自体がストレスになってしまったのでは本末転倒です。

          正心調息法は1日に25回というのが目安になりますが、これも今日は20回     しかできなかったとか、忙しくて1回もできなかったなどと悩むのではなく、次        の日からまたやり始めれば良いということです。






  
第7節 正心調息法(せいしんちようそくほう)のやり方  

正心調息法とは、健康と長寿、幸福を実現する健康法です。

人の心にはそれぞれの波長があり、その波長に合ったことが起こります。愚痴をこぼす人には愚痴の種がついて回るし、感謝を忘れず物事を前向きに考える人には不可能も可能になります。正心が大切です。

正 心
  正しい心の使い方です。
  これは呼吸法を行う際にはもとより、生活全般で実行します。
          物事をすべて前向きにとらえる。
          感謝を忘れない。
          愚痴をこぼさない。


姿 勢
 背筋をまっすぐに伸ばして座ります。正座、あぐら、椅子座(いすざ)のいずれでも結構です。
 利き手を上に、両手のひらで丸いボールを優しく包むように組みます。おにぎりを作るような手つきです。これを鈴の印と言います。

息 法(呼吸法)

      ①吸息(きゅうそく)
       鼻から静かに息を吸い込みます。胸一杯に肺底まで吸います。
     
      ②充息(じゅうそく)
       吸い込んだ息を下腹(丹田)に押し込みます。
       その際に肛門をギュとしめて丹田に力を込め、息を止めたま ま数秒ないし十秒    位はこらえます。全身に宇宙のエネルギーが満ち渡るイメージを持ちましょう。
       「丹田に宇宙の無限の力が収められた」と想念します。
     
      ③吐息(とそく)  
       肛門の力を緩めて、鼻から静かに息を吐き出しながら、腹の力を静かに抜い
      て、腹をへこませます。
      「全身がまったく健康になった。○○病が治った!」「全身がきれいになった。    全身の細胞が若返った」「全身の細胞が健康になった」などと想念します。
       科学信仰者には頭から否定されそうですが、先生は自分の身体ですべて実証済み    と泰然としておられます。自分の老化現象や前立腺肥大症、白内障等の病気を治        した経緯は自著に詳しく記されています。
         ○○病は治ったのところは、○○病は治った!治った!治った!というように、   ありったけの想念を強く送り込むと効果が高くなります。

      ④小息(しょうそく)
       小さな息を1回します。
     
      ⑤静息(せいそく) 
       最後に丹田に軽く力を込めたまま、静かに10回普通の呼吸をします。




皆さんも是非実行してみてください。毎日毎日、そして長く続けることが大切です。

体調の良くないお客様や患者さんにも教えて上げて下さい。

整体教養論|六臓六腑の現代的解釈

第1節 西洋医学と東洋医学の内臓

東洋医学しか知らなかった江戸時代に、オランダから入ってきた西洋医学の解剖学書を初めてみた漢方医はビックリ仰天したそうです。
そして、実際に解剖を行ったところ、西洋医学の解剖書はまさにその通りで、漢方で習ってきた臓腑とはかけ離れていることが分かったわけです。

東洋医学では、人体の内臓を知らなかったのでしょうか?
そんなことはないと思います。
古代中国では、人命は酷く軽く扱われており、医学のために罪人などを解剖しないはずはありません。
また、猿の脳みそを食べるなど、机以外の四つ足動物は何でも食べる国ですので、肉を取り分ける作業以上、その内臓を知らないわけはないと思います。

それにもかかわらず、
西洋医学のように解剖学的な実体臓器を用いず、
東洋医学では、かなり概念的な六臓六腑を用いています。

結論からいうと、東洋医学でいうところの六臓六腑は、
人体の「機能」や「働き」を体系付けたものです。

「機能」や「働き」というのは生きている人間だけにあるものであって、死体にはありません。
死体を解剖したところで、生命を見出すことなどできないと言う考えのもとに、人体の機能や働きを対象としてきたのだと思います。

以上のように、
解剖学に基づいた西洋医学の内臓とは名前が同じものが多くありますが、厳密には同じではありません。

東洋医学における臓腑は、内臓そのものと言うより、その生理機能を含んだ総称
を意味します。

①臓は、実質性の器官で、精・気や生活物質を作ったり蓄えたりする働きがあります。
②腑は、中空性の器官で、運搬・排泄などを行っています。
③臓でもなく腑でもないが両者の性質を有するものを、奇恒(きこう)の腑と言います。

古代中国では陰陽論・五行論が思想の根底にあり、
身体の働き(生理作用)を五行に分け、
それぞれに臓と腑を当てはめました。
これが五臓五腑です。

この時、臓は陰、腑は陽となり、同じ五行に属する臓と腑は裏と表の関係(表裏関係)にあると言います。
つまり臓腑は「木火土金水」の五つのグループに分けられました。

「五臓五腑」の他にもう一対、
「心包」という臓と「三焦」という腑を加えて、
六臓六腑と言います。
心包は「最も大切な心を包み込んで保護する臓器」、
三焦は「人間が体温を保つ為の三つの熱源」という意味を持つ腑です。


第2節 臓腑と経絡・経穴

東洋医学では、六臓六腑の働きが正常であれば健康、逆に不調ならば病気の状態であると考えられています。

この「六臓六腑」の働きに深く関わっているのが「気」と呼ばれる一種の生命エネルギーで、私たちの身体の中には気が流れていると解釈されています。
その気の通り道が「経絡」です(「経」は縦の流れを、「絡」は横の流れを意味します)。

経絡は網の目のようにからだ全体に張り巡らされていますが、その主なものが「正経十二絡」と呼ばれるもので、「六臓六腑」それぞれに対応しています。

経絡は、これら十二の内臓器官から身体の内部や表面を走り、それが手足や顔面に至り、そして手足や顔面から臓腑に帰るとされています。

そして、気の流れが滞るといろいろな反応が現れる場所を経穴(ツボ)と言います。
経絡という線の上に、経穴が千以上も点在していると言われています。

内臓に何か異常があれば、それに関連する経絡の流れが滞り、その影響は内臓にも及ぼします。
従って、ツボに刺激を与えて、自然治癒能力を高めてやれば滞っている気の流れがスムーズになり、内臓器官の働きも、徐々に正常な状態に回復して行きます。

また、ツボを日頃から刺激していれば、気の流れをいつも正常に保つことができますので、病気への予防効果を高めることもできるわけです。
病気でなくても、定期的に整体施療を受けていれば、健康を維持できると言うことですね。

西洋医学では、身体の悪い部分を探しだして病名を決定し、その病気に対して薬の投与や手術などを施すことで治療しますが、
それに対して東洋医学は、人間が本来持っている自然治癒能力に働きかけ、患者の体質を改善し、根本から治していくものなのです。
ツボ刺激・鍼・お灸の後、血液中の白血球の数に変化が見られ、免疫力が高まっていることは臨床的に確認されています。

では、ツボはどのように見つけ、どのように刺激したらよいのでしょうか?

ツボは目に見えるものではありませんし、身体の調子によって少しですが移動もします。
だからといって、ツボは見つけにくいものではありません。押したり揉んだりして気持ちの良いところやちょっと痛みを感じるところ、からだの内部に響くような感じのするところを探せばいいのです。
このように、自分のツボは分かりますが、患者さんの響きのあるツボを探すのは熟練が必要です。

ツボは、英語で「Pain Point」といい、中国語では「阿是穴」といいます(「阿」とは日本語で「痛い」、「是」とは日本語で「ここ」という意味です)。

つまり、押してみて痛いところがツボなのです。
事実、「気」の流れが滞っている場合にツボを刺激すると痛みを感じます。

ツボを何回くらい押したらいいのか、または何分くらい刺激したらいいのかは、人それぞれによって、そして体調などによって異なります。

妊娠初期や満腹時・酩酊状態の時は、ツボ刺激は避けてください。

基本的には、1日に何回刺激してもかまいません。
また、一度に何回押しても結構です。
しかし、皮膚にあざができるまで強く刺激する必要は全くありませんので、押してみて少し痛みを感じる程度が最適です。


第3節 臓腑の現代的解釈  

東洋医学における臓腑は、内臓そのものと言うより、その生理機能を含んだ総称です。

東洋医学を勉強した人でも分かりにくい概念ですよね…。
ましてや、患者さんやお客様に説明して納得してもらうのは大変な労力を必要とします。
なじみの深い西洋医学で使う内臓の名前で説明した法が分かりやすいと思います。

ただ、西洋医学での内臓と東洋医学での臓腑はイコールではありませんので、
中国の古典の読み方により色々な学説があります。

1.肝 【将軍の官…外敵を防ぐ思慮】
  胆 【中正の官…公正な判断をする、十一の臓決を胆に取る】
 
貯蔵・配分作用
肝は、栄養を貯蔵し身体活動のエネルギーを確保し、血液の補給や分解、解毒などを行い、抵抗力を養成する。  胆は、栄養の配分を司り、内分泌の働きにより身体全体のエネルギーバランスを調節する。
 右 … 肝臓    左 … 脾臓
     胆嚢        膵臓  

胆は奇恒の腑と云われる。他の腑は食物の消化残滓という不浄な物排泄する機能を持っているが、胆は清浄な物を貯蔵分泌する。

2.心 【君主の官…神に通ずる最高指導者】
  小腸【受盛の官…胃で熟成消化された飲食物を受理し、精と残渣に選別する】
 
転換・統制作用
心は、こころのことで、精神の統制機能であり、下界の刺激を内界の適応作用に転換する働きをする。体内血液の配分を支配し、大脳と五感を通して全身を統制する。
小腸は、食物を栄養に転換し、体液成分など身体の成分を構成することで全身を統制する。


血脈・熱を司る=循環器系や細胞・組織の代謝活動に関係
 基礎循環・基礎代謝熱を意味するので、生命エネルギー低下や系統が弱く冷え性の人には、心・小腸の反射区や経穴で活性化できる。
心 … 心臓(主に昼間の交感神経優位の時に循環代謝を司る)
小腸… 小腸(夜間等の副交感神経優位の時に循環代謝を司る)

3.脾 【運化の中枢。飲食物を運化し栄養物質を抽出して全身に運ぶ。津液も運搬する】
  胃 【水穀の海…飲食物の受納熟成】 
 
消化・発酵作用
脾は、膵臓を中心とした全身の消化腺(唾液腺・胃腺・腸腺・生殖・腺 乳腺)
胃は、口腔から食道・胃・十二指腸などの消化管の総称。

脾 … 消化器系統全般の消化吸収機能    = 十二指腸が司令
脳にあるホルモンの大部分は腸にもあり「脳腸ホルモン」と呼ばれ、十二指腸から分泌され、脳に働きかける。十二指腸に食物がくると、消化吸収活動が起きる。
胃 … 胃・小腸・大腸など消化器系統    全般の運搬機能の全般(腑)  

4.肺 【相傅(そうふ)の官…君主の心を補佐する宰相】
  大腸【伝導の官】
 
分解・排泄作用
肺は、外界からエネルギーを受け、それを人体の気まで分解し、生命活動の根源とする。また、呼吸による排泄を行う。
大腸は、肺をたすけ、気の停滞をなくすよう働くとともに、飲食物の最終分解と排泄を行う。
胃は消化器系統の腑の代表であり、小腸は心と関係して循環器系、大腸は肺と関係して呼吸器系をつかさどる。
   
5.腎 【栄養物質の精と淫液の精を蔵し、臓腑の活動と成長発育、生殖のエネルギーとなる。作強の官=身体の強さを作る】
  膀胱【三焦の水の道を経て送られてきた余分な津液を貯め、腎気の作用で排泄する】
 
精気貯蔵・清浄作用
腎は、体液成分の調整と内分泌機能の調整により身体に精気を与え、体内毒物の清浄に当たる。右命門に副腎、左命門に尿生成作用。
膀胱は、生殖機能も合わせた泌尿器周辺の臓器で、体液清浄を行う。

腎は骨髄をつかさどり、脳は骨髄の海=骨髄の先端が肥大化して脳が形成される。また、血球は骨髄で作られ免疫力となる。腎虚は痴呆症の原因となったり免疫力低下となる。
腎=命門ともよばれる=副腎(反射点は右側の腎兪)
泌尿器系をつかさどる=腎臓(反射点は左側の腎兪)
免疫力の低下している人は、右腎兪が張り、経絡相関性から右合谷に圧痛。泌尿器系の異常は、左腎兪と左合谷に反応が出る。
         
6.心包【臣徒の官…心の外衛として、心を守り心の意思を外に現す】
  三焦【臓腑の外衛として働く。決?の官とも云われ、気血水を全身にめぐらせ、不要 物質を排泄させる総合的機能を持つ】 
 
循環・保護作用
心包は、心を補佐する循環器で、心臓・心嚢・冠状動脈を中心とした中枢循環のこと。
三焦は、漿膜やリンパ系の末梢循環による保護作用を意味する。上焦は胸膜、中焦は大網、下焦は腹膜と腸間膜。

心包 … 生命を保つ基礎代謝以上の活動による代謝熱 のこと。例えば、風邪の発熱、運動時の熱代謝、消化時は消化器に熱代謝が生じる等。
三焦 … 身体の上中下の生理的バランスを云い、自律神経・ホルモン系・リンパ系など全体で血液を必要なところに配分する役割を司り、腹腔神経叢が代表する。

2017年2月16日木曜日

整体教養論|経穴の科学的根拠

第1節 身体の構成

私達の身体は、60兆個以上とも言われる細胞(さいぼう)から成り立っています。
元々は、卵子という1個の細胞から分裂して私達の身体を形作ったのです。
従って、身体の一部分が悪くなれば、大なり小なり他の組織にも影響が出ます。

その一つが、体表内蔵反射と言われるもので、内蔵の不具合が身体の表面に感覚異常として出ることです。(もう習いましたね…)

また、東洋医学的なものでは、内蔵の不具合が体表に現れるものに、経穴(ツボ)があります。

この章では、経絡・経穴について、科学的な解明はどうなっているのかを学びます。

ミクロの世界の話になりますが、細胞は、分子(ぶんし)が集まってできています。分子は、原子から成り立っています。原子は、原子核(げんしかく)(陽子と中性子から成ります)とそのまわりを廻る電子(でんし)から成り立っています。

 身体  細胞        分子          原子            原子核 (+)
           細胞          分子          原子            電 子 (-)
           細胞          分子          原子              :   (-)
             :            :             :                  :

原子核はプラスの電気を持ち、電子はマイナスの電気を持っています。

電気が流れていると言うことは、磁気を持つと言うことです。

従って、原子核と電子から成る原子も分子も細胞も、そして私達の身体も当然、磁気を帯びています。

人体の持つ磁気を生体磁気(せいたいじき)と言います。

* 分 子 … 
物質がその化学的性質を持つ最小単位を言います。分子は原子の結合したもので、例えば酸素は酸素原子Oが2個から成るO2です。

* 原 子 … 
正の電気を持つ原子核とその周囲を廻る若干個のマイナスの電気を持つ電子から成ります。ちなみに、原子核は陽子と中性子から成ります。

* イオン … 
正または負の電気を持った原子のことを言います。中性の原子や分子が、マイナスの電気を持つ電子を放出すると、プラスイオンとなり、逆に、他から余分の電子をとり入れるとマイナスイオンとなります。

* 電 流 … 
マイナスの電気を持った電子の流れを言います。


第2節 生体磁気のバランス

身体に異常が生じた場合には、ツボ(経穴)など身体の一定の部分や傷口などに、マイナスの電気を持つ電子が異常集結する事が、確認されています。(マイナスの電気が集まれば、バランスをとるために皮膚または細胞の外側にはプラスの電気が集まります)
こうして身体の磁気バランスが崩れます。

健康体とは、生体磁気のバランスが取れている状態です。

例えば、切り傷や擦り傷など傷口と正常な皮膚を電線でつなぐと電流が流れることは、
科学的に実証されています。これを負傷電流(ふしようでんりゆう)と言います。 

これは、傷口やツボにはイオンが集まり電位差が生じるためです。
この現象は身体内部でも起こっております。


第3節 マイナスイオン療法

整体療法のひとつに、マイナスイオン療法と言うのがあります。
磁石、チタンなどの金属を使う療法です。

イオン化傾向(かけいこう)とは、金属が電子を放出してプラスの電気を持つ原子(=イオン)になろうとする性質を言いますが、金属のイオン化傾向を利用して、体内の電子エネルギーを少なくし、生体磁気のバランスをとり、身体の不具合を調整する療法を言います。

イオン化傾向の大きさの例
 Mg >Al >Zn >Fe>Ni >Sn >Pb >H >Cu> Hg >Ag >Pt >Au

通常は、細胞膜の外側はプラスの電気を、細胞膜の内側はマイナスの電気を帯びています。
従って、皮膚表面はプラスの電気、皮膚内部はマイナスの電気を帯びていることになります。

病気になると、ツボなどの皮膚の内部に電子が集まり電子エネルギーが高まります。

電子エネルギーが高まっている局所に、イオン化傾向の高い金属を接触させておくと、
金属はマイナスの電気を持った電子を放出して、皮膚表はマイナスに傾き、電気の性質により皮膚内部は電子エネルギーが減少します。こうして身体の異常が解消されることになります。

 
第4節 マイナスイオンの健康効果

原子がマイナスの電子を得るとマイナスイオンになります。

イオンになることをイオン化と言います。  
         (例)   H+  、   Fe+++ 、  So4--

イオンの働き
 プラスイオン  … 疲労イオンと言われます
 マイナスイオン … 元気イオンと言われます

マイナスイオンを発生するエアコンや加湿器が売り出されているのをご存じですか?
マイナスイオンは、身体に良い影響を与える事が分かっているからです。

以下のような実験結果があります。

皮膚の表面にマイナスイオンを吹きつけると、皮膚の毛穴(けあな)や汗腺(かんせん)が拡張します。

これを「原形質膜(げんけいしつまく)の皮膚性反射(ひふせいはんしや)」といい、細胞自体の新陳代謝を高める効果があります。

逆にプラスイオンでは収縮して働きを弱めます。
     
マイナスイオンの多い空気の効用 
   免疫力の向上・精神安定・老廃物排出・呼吸機能向上・疲労回復
   植物の成長が早まる

プラスイオンの多い空気の弊害(へいがい)  
   めまい・吐き気・頭痛・肩こり・不眠・老化
   体内のカルシュウム・ビタミンCが尿中に排泄され筋持続力低下
   血糖増加

*これで患者さんやお客様にマイナスイオンが身体に良いことが説明できますね。
  私達のまわりは、電化製品の普及で、電磁波に囲まれています。
 海山川の自然に接し、マイナスイオンをたくさん浴びることは健康につながります。


第5節 良導絡(りようどうらく)

全身に電気を通してみて、特に電気の通りやすい点を <反応良導点(はんのうりようどうてん)>と言いますが、中国医学古来のツボ=経穴とほぼ一致したことから、経穴を科学的に解明した第一歩として、世界各国から大きな注目が寄せられています。

皮膚の電気抵抗との関係で、東洋医学の経穴は自律神経の機能に関連しており、特に内蔵と関連性のある機能を持つ一連のルートを良導絡と名付けました。
これが経絡と類似していることも証明しました。

良導絡は、交感神経の興奮状態を調べた経路で、ストレス度判定となると同時に、健康度・体力の指標となります。ちなみに全身麻酔をするとほとんど零になります。

経穴で言えば、異常のある内蔵に関する経穴は特に電気が通りやすくなっています。
これは、電気抵抗測定器で、異常のある経穴を正確に探すことができるので、今まで勘に頼っていたツボが、個々人に応じて分かり、更に経絡の異常も電気的に量的に測って、治療が客観的、数量的に行えることになりました。

(1)良導絡の発見 

良導絡は、1950年、京都大学医学部生理学教室において、故中谷義雄(なかたによしお)博士が発見したものです。
その研究は、内臓に病気が起こると、内蔵の種類により、皮膚(体表)に、各内臓疾患に関連のある電気の通り易い特定の系統が12種類現れることが確認されました。
そして、それぞれH1~H6良導絡、F1~F6良導絡と名づけました。
ちなみに、東洋医学にも正経十二経と言う六臓六腑から出る12の経絡があります。

また、その良導絡上に特に電気の通り易い点があり、それを反応良導点(はんのうりようどうてん)と名づけ、その点に、電流・針・灸・光線・指圧等の刺激を与えることにより、もとの内臓疾患の症状が改善されることが解りました。

私たちの自律神経は交感神経と副交感神経に分かれており、全ての臓器器官に分布しています。
良導絡はとくに、交感神経の機能の興奮性と密接な関係のあることが解明されたので、一人一人の患者さんの異常な交感神経の興奮性を知ることができるようになりました。

良導絡では、ノイロメーターという機械で電気の通り具合を調べることによって、全身の欠陥がわかります。従って、その測定によって患者さん自身が自覚していない症状も知ることができます

(2)皮膚の導電性(電気抵抗)

皮膚に弱い電気を流したとき、どこでも同じように電気が流れるわけではありません。
皮膚は、どこも電気が流れます。〈多く流れる所〉と〈少なく流れる所〉があるということです。
電気の流れやすい点を[良 導 点]と名付けました。
上半身では下半身に比べ、電気は良く流れ、良導点は多く出現します。
上半身の伏臥位の整体が一番大切な事の証明です。

良導点は、身体(内臓を含む)に異常が有る時に、鮮明に現れ、異常を呈する内臓や部位によって出現する場所が異なります。

良導点、特に反応良導点は、身体の状態が自律神経を介して皮膚上に反射した点であり、皮膚上の良導点の電流量(電流量の変動)を観測することにより、間接的に交感神経の興奮性を知ることが出来ます。


(4)[経穴・経絡]と[良導点・良導絡]

良導点、特に反応良導点は、中国の伝承医学の一つである「経穴・経絡」の経穴(ツボ)の部位に、多く一致することは実証されました。

即ち、経穴(ツボ)は導電性が高い(電気が通りやすい)という特性を持っています。

このことを中谷博士が世界で初めて証明したとして、国際的に高い評価を受けています。
[良導絡]と[経絡]は相似形をなしています。

「良導絡」は、「経絡」の生理学・病理学的部分を、電気生理学と自律神経学の立場から表現し、同時に経絡を科学的に解明し証明したものといえます。

経絡では、六臓(肺,心,脾,肝,腎 の五臓に心包を加えて)と六腑(小腸,三焦,大腸,膀胱,胆,胃)の12系に分類しています。

良導絡も、経絡の観念を踏襲して六臓・六腑の12系に分類しています。

良導絡では、手を走行する良導絡に[H =HAND]を、足を走行するものに[F=FOOT]の記号をつけて呼んでいます。

注意が必要なのは、経絡や良導絡の「肺,肝,胃」等の内蔵が、現在の解剖・生理学上の「肺臓,肝臓,胃」と同一のものではないことです。

「肝」は、肝臓のみならず眼,筋肉,生殖器などを含む自律神経機能の一つの独特なパターンだと理解して下さい。筋肉痛や眼精疲労も「肝経」の異常として現れます。勿論、肝臓の働きに異常があるケースでは、「肝経」に変化が現れます。

また、現実に「心包」及び「三焦」という臓器は存在しません。
良導絡では、「心包」は「血管及び血液循環器能」と、「三焦」は「リンパ管及びリンパ系の機能」だと解釈しています。

また、「脾」は、「脾臓」よりも「膵臓を中心とする消化機能」に、「腎」は、「腎臓の泌尿機能」よりも「副腎を中心とする内分泌の働き」に重点を置いています。



2017年2月15日水曜日

整体教養論|医食同源

整体師の研修になぜ食べ物について学習する必要があるんだ?
こう思う方もいるかもしれません。しかし、大いに関係ありなのです。

整体師は健康を回復維持するお手伝いをするわけですが、整体のみでは限度があります。

例えば、こういうこともあります。
夜中に「こむら返り」が起こって困っている患者さんがおりました。
経絡経穴療法でその場での回復は可能ですが、根本的にはマグネシウム不足によることが多いのです。これを知っていて、健康アドバイザーとしての役目を果たせるかどうかがあなたの整体師としての評判が、良くなるか悪くなるかの分かれ目です。

もう一つ大切なことは、整体師自身が健康でなければお客様は誰も来ません。
整体師自身も、食生活に気をつけて何時までも若々しく健康でありたいものです。

整体師が、毎日5、6人の患者さん施療すれば、スポーツクラブにお金をもらって通っているようなものです。少々の過食過飲では健康を害しません。
しかし、栄養に気をつけなければ健康を害しますし、早く老います。


第1節 栄養素

人体にとって特に大切な栄養素があります。これは三大栄養素と言われます。
 三大栄養素とは  …  糖質・蛋白質・脂質をいいます。細胞を新しく生まれ変わらせたり、身体を動かすエネルギー源となります。但し、これにビタミンとミネラルが関わることで機能します。 
   
どんなに栄養をとっても、ビタミンとミネラルを摂取しなければ円滑な生命活動が   できません。

身体に取り入れられた三大栄養素は、胃腸や肝臓などで分解や合成といった代謝を   繰り返し、体内で活用されることになりますが、その分解や合成に酵素が関連しま   す。更に、酵素はビタミンとミネラルにより活性化されます。


代謝(分解・合成)→    食物の栄養素から、肉や骨を作り、生命活動するエネルギーを
合成します。

新しく細胞を作る、生きる・動くためのエネルギーを作る、健康を維持する、 病気から身体を守る


第2節 三大栄養素をスムーズに働かせるビタミン

脂溶性 …油に溶ける性質を言います。ビタミンA、D、E、K等で体内に長くとどまるので、摂りすぎると過剰症の恐れがあります。

水溶性 …水に溶ける性質を言います。ビタミンB群、C等で余った分は排泄されるので、まめに摂取する必要があります。

 ビタミンC(アセロラ、イチゴ、ブロッコリーなど)
 シミ、しわ、肌荒れを防ぎ、コラーゲンを生成するなどの美容効果があります。
 風邪予防、老化を促す活性酸素除去など抗酸化作用があります。

  ビタミンA(緑黄色野菜、ウナギ、レバーなど)
 疲れ眼やドライアイ、肌荒れや皮膚の角質化など目や肌の健康維持に効果があります。
   植物性はβカロテンやαカロテン、動物性はレチノールで、ビタミンAの種類が違い  ます。レチノールなどの過剰摂取は、頭痛やめまいなどを引き起こしますので注意が  必要です。 

 ビタミンB群(肉、レバー、魚、豆類など)
   ビタミンB1、2、6、12、パントテン酸、ナイアシン、葉酸、ビオチンの8種類。
   三大栄養素がエネルギーに変わるには酵素の働きが欠かせないが、酵素の活性化に関 わるビタミンの中でも特にビタミンB群は、1つでも欠けると糖質が代謝されず疲れ  やすくなったり、脂肪が燃焼されず体脂肪になったりします。水溶性なのでこまめに摂る必要があります。

 ビタミンD(キノコ類、魚、肉類など)
   骨や歯を作るカルシュウムと関連が深く、紫外線を浴びることで体内合成されます。
   食事からのカルシュウムの吸収を助け、骨の形成を促すほか、必要に応じて、骨から カルシュウムを取り出す役目をします。

 ビタミンE(植物油、ナッツ類、小麦胚芽など)
   ビタミンC、βカロテンと並び、抗酸化ビタミンとして知られています。
 血管の老化を防ぎ、動脈硬化や心臓病など生活習慣病予防に効果があります。

 ビタミンK(納豆、海藻、緑黄色野菜)
 ビタミンD同様に骨の形成に関わるビタミンです。骨粗鬆症の治療薬として認可されています。 ビタミンDが骨からCaを取り出すのに対して、ビタミンKは骨からCaが流出するのを防ぐ働きをします。

第3節 身体を構成し強化するミネラル
      (ミネラルとは、大地や海から受け継がれた無機質を言います)

ビタミンとともに身体の潤滑油として働くとともに、赤血球の鉄、骨のカルシュウムなど身体の構成・強化の役を担います。

 カルシュウム(干しエビ、小魚、乳製品など)
   丈夫な骨や歯を作ります。
 神経伝達を正常に保ちます。
 筋肉の運動は筋細胞にカルシュウムが取り込まれることで起こります。
   加工食品や清涼飲料水に多いリンを摂りすぎるとCaの吸収を妨げます。

  マグネシウム(海藻類、豆類、ナッツ類、玄米など)
  骨を作るときCaと一緒に働きます。
  筋肉の収縮はCaが筋肉細胞に入ることで起こりますが、その量を調節して筋肉を緩  めるのはMgです。Mgが不足してCaが入りすぎると、筋肉が正しく収縮せず、痙  攣や震え、不整脈を引き起こします。
   Caは不足すると骨から溶け出して使われることになります。

 鉄(ひじき、レバー、緑黄色野菜など)
   赤血球の成分であるヘモグロビンの構成要素となり、人体各部に酸素を運びます。

 銅(干しエビ、イイダコ、するめ、牛レバーなど)
   鉄がヘモグロビンの構成要素になるためには、その合成を助ける銅が不可欠です。
 酵素の機能に関わり、コルステロールや糖の代謝など色々な作用を持ちます。

 亜鉛(牡蠣、小麦胚芽、レバーなど)
 細胞分裂を正常に保つ働きがあります
        → 味蕾細胞・毛母細胞の再生→味覚や育毛に関連
   免疫力を高め、生殖機能を正常に保ちます。別名、セックスミネラルとも言われます。

  セレン(魚介類、大豆、肉類など)
  肝臓で抗酸化作用を発揮するので、飲酒機会の多い人は、アルコールによる消費の激  しい亜鉛とともにセレンを摂取すると良いと言われます。

  クロム(穀類、海藻類、魚介類など)
  血液中の糖をエネルギーに変えるのはインスリンですが、その働きを活性化します。    脂質の代謝を促進するので動脈硬化や高血圧を予防します。

  マンガン
 肝臓で働く酵素の活性化や、蛋白質、糖質の代謝に関わります。

 モリブデン
 尿酸の代謝や脂質、糖質の代謝に関わります。

 ヨウ素
 甲状腺ホルモンの生成に必要なミネラルです。


第4節 生命力の源泉である酵素

* 生命があるところには必ず酵素があります。

* 植物も動物も、誕生・成長・そのための生命維持活動は、酵素が司ります。

* 長寿と健康維持は、体内に酵素を十分保てるかどうかで決まります。

* 体内酵素の欠乏や消耗が、老化や免疫力の低下を引き起こします。

* 酵素の大部分は腸内細菌が作りだし、正常体温で活発に働きます。

* 酵素はミネラルのまわりにタンパク質が付着したもので、体内酵素の補充には食物 から酵素を多く含む食物を取れば合成に大きなエネルギーを使わないで済むのです。

* 体内酵素をできるだけ消耗しない生活や食事をすることが大切です。

        ① 食物の消化のために多量の酵素が使われます。
          腹八分目は健康と云われるのはこの為です。
       
        ② 食品添加物・薬品・農薬・電磁波などの解毒で生じる活性酸素を解毒する のにも酵素が使われます。
       
        ③ ケガや病気に気をつけることが大切です。
          傷や病気を治すのに大量の酵素が必要です。
       
        ③ 体内酵素の大部分を作り出す良い腸内細菌を保つ生活をすしましょう。
       
          腸内細菌には、
      善玉菌(ぜんだまきん)・
      悪玉菌(あくだまきん)・
      日和見菌(ひよりみきん)があります。

善玉菌には、ビフィズス菌・ラクトバチルス菌等があります。悪玉菌には、ウェルシュ菌・ブドウ球菌等があります。日和見菌は、大腸菌の種類などで、普段は人体の害にはなりませんが、腸内状況によって悪玉に作用するものです。


第5節 腸内細菌の働き
                 腸内細菌は、成人で約1kg腸内にあります。

善玉の腸内細菌は、
* 大部分の酵素を作ります        
* ビタミン、葉酸、ニコチン酸などを合成します
* ホルモンを合成します                
* 悪玉菌をおさえて腸内腐敗を抑制します
* 発ガン物質の分解をします
* 栄養分の消化補助をします
鉄分・カルシウムを吸収しやすくする、糖・脂肪の代謝を助ける、タンパク質    ・糖類の分解、セルロースの分解など
* 病原菌感染から防衛します
悪玉菌が住み着けない環境を作り、免疫機能促進


第6節 基礎代謝

酵素が活発に働く体温は約37度なので、冷え気味の人は身体を温め、排泄を促す食事をすることが大切です。
 
腋窩部(えきかぶ)体温が36度未満の人は風邪を始めとした様々な病気に冒されやすいと云われています。

基礎代謝(生きているだけで使用されるカロリー)を上げる努力をしましょう。

消費エネルギーを3つに分けると・・・

基礎代謝量(60%) …生命維持するための基本的なエネルギー消費分  
生活活動代謝量(30%)    …生活活動や運動で消費されるエネルギー
食物吸収時のエネルギ-(10%) …摂った食事を消化吸収のとき消費されるエネルギー


■ダイエットの決め手は、基礎代謝を上げることです。

食べる量は同じなのに、自分だけ太ってしまう場合は、たいてい基礎代謝が関係しているようです。基礎代謝の中でもっとも消費量が多いのが筋肉です。

身体の組織の約40%は筋肉でできていて、筋肉の量が多いほど、基礎代謝量はアップし、消費エネルギーは大きくなります。従って、同じ体重の人が同じ量を食べても、結果に差がでます。いくら頑張ってもやせられない人は、基礎代謝が低いのが原因です。

基礎代謝は生後、成長するにつれて高くなり、20歳前後をピークにその後は徐々に減っていき、個人差はありますが、一般に40歳を過ぎると急激な下降線をたどります。これは加齢によって筋肉が衰えて減少してしまうからです。

また、女性は男性より基礎代謝が低い傾向にあります。女性は妊娠・出産という大切な役目があるため、男性よりも多くの体脂肪を蓄えており、筋肉量が少ないことが原因です。

今、巷で云われる、メタボリック症候群も体温が低い人は注意が必要です。

基礎代謝が低く体温の低い人は、身体を温めることにより、健康を維持しなければなりません。
下半身浴や食事療法で身体を温めることが大切です。

整体・マッサージも基礎代謝を上昇させます。これは整体の宣伝に大切ですね…。

■免疫力を高める為には、体温の上昇が絶対必要条件です。

風邪をひくと私達は熱を出します。
この状態は、キラー細胞を活性化して、風邪の菌に対して攻撃をしている状態なのです。

身体を冷やさなければ、キラー細胞は外敵に何時でも対応できる状態になっているのです。
身体を冷やすと、キラー細胞は風邪を始めとした色々な菌に負けてしまします。

身体を冷やすと血管が収縮して体温を逃がさないようにします。
ただでさえドロドロの血液の人は、血流が悪くなり,キラー細胞の活躍を阻害して、ガン細胞などの増殖を促してしまうことにもなるのです。


■腋窩体温の自然治癒力への影響

36.5℃以上⇒きわめて健康。新陳代謝が活発で、健康で活動的、免疫力も高く、ほとんど病気をしない状態です.。

36.4℃以下⇒健康と不健康の間で、体調や環境に影響されます。

35.6℃以上

35.5℃以下⇒低体温。自律神経失調症が原因で内臓機能低下。新陳代謝が不活発になりアレルギー体質に成りやすい状態。
                   
癌は35℃以下を好むので、それ以下になると遺伝子の誤作動が多くガン体質となります。

34℃以下⇒生死の境   身体は硬直して、自分の意思では身体が動きません。

33℃以下     ⇒死


第7節 食養生(しよくようじよう)と血液浄化に関係

冷えは血液を汚すと言うことは学習しましたよね…。

食べ物で身体を養生して血液を浄化できます。

身体を温める食物や身体の不要物を排泄する食物を摂取しましょう!


身体を温める食べ物 ⇒ 身体の中の不要物を燃焼させる ⇒  血液を浄化する
排泄を促す食べ物  ⇒ 身体の中の不要物を排泄する  ⇒ 血液を浄化する


東洋医学では昔から伝えられている食材です。

身体を温める…
 人参・ショウガ・ゴボウ・レンコン・ネギ・タマネギ・山椒(さんしよう)・
          山芋(やまいも)・唐辛子・陳皮(ちんぴ)・ゴマ・しそ
利尿作用…
 小豆・キュウリ・スイカ・生銀杏(ぎんなん)(焼くと頻尿(ひんによう)に効果)

血糖値を下げる…
 山芋(八味地黄丸の主成分)・タマネギ・甘藷(かんしよ)の蔓(つる)と若葉

緩解(けんげ)作用(便通…
 アロエ(冷え性の人は煎じる)・乾燥プルーン・ほうれん草

解毒作用…
 タマネギ・リンゴ・人参

通風(つうふう)・結石(けつせき)…
 セロリ

胃痛… ニラの絞り汁は胃痛に良い
安眠… 乾燥ナツメを煎じる
 


病気の主な原因は「冷え」にあります。
冷えは血液を汚します。
冷えは免疫力を低下させます。

整体は、体温を上げて、免疫力を高めます。
整体は、血行をよくして、運動不足を補い、血液の浄化を助けます。

2017年2月14日火曜日

整体教養論|整体原論

整体のアプローチする部位は、主に関節・皮膚・筋肉・内臓です。

第1節 関節への整体            

特に、仙腸関節の変位・股関節の変位は、
中枢神経である脊髄を通している脊柱の脊椎椎間関節の変位にも直結し、
腰痛・肩こり・膝痛・股関節痛・坐骨神経痛・冷え性・頭痛・自律神経失調症・消化器疾病・循環器疾病・泌尿器疾病・生殖器疾病など様々な病気の原因となります。

関節の不具合は次のように分類できます。

1.脱臼(Luxation)       … 関節が本来の位置から外れた状態です
2.亜脱臼(Subluxation)  … 関節が本来の位置から少しずれた状態です
3.可動不良(Fixation))  … 固着とも言い、 関節が動きにくい状態です

関節を調整するには、脱臼以外は必要以上の力をかけなくても、適度な刺激を与えれば、自然治癒力が働き、元の正しい位置に戻ろうとします。関節ボキッと音を出す必要は有りません。結果的に音がしてもしなくても良いのです。

関節に対する整体は、実際には、ストレッチ・軸圧・牽引・滑り法・スラスト(アジャスト)などの手技療法で施療します。


関節整体の効果は、

1.筋肉の過緊張を取り除き、関節可動域を広げる効果があります。        

2.靱帯は過度の外的障害を受けると、弛緩(ゆるむこと)してしまいます。
  整体は靱帯を強化し、弛緩を改善します。             

3.間接的に筋肉、腱の緊張・拘縮を緩解(ゆるめる)する効果があります。

4.仙腸関節・股関節・脊椎椎間関節の変位を調整することは、これらの関節の変位に起因する病気を改善する効果があります。


第2節 皮膚への整体           

1.マッサージ系の適度な皮膚刺激は、副交感神経への刺激となり、代謝、体温、呼吸、消化、循環、排泄等の機能を整えます。
2.適度な皮膚刺激は、刺激部位にバイオホルモンやネクロホルモンと言われるホ   ンが分泌されて、それが血流に乗り内臓に達して、内臓の機能が亢進して細菌など   の外敵に対する防衛機能が高まります。
3.皮膚に異常が起きると、糖代謝・脂肪代謝・蛋白質代謝の障害(栄養素から細胞組 織を作り生命活動をすることが阻害される)が起き、内臓器官の機能異常となりま   す。
4.また、内臓器官の不具合が皮膚感覚に異常を反映することも、証明されています。 これを内臓体表反射と言います。皮膚の異常を整体マッサージなどで施療すると内臓の不調が改善されます。これを体表内臓反射と言います。


第3節 筋肉 への整体 

1.押圧など、筋肉への刺激は、静脈血やリンパ液の還流を促します。
 
2.代謝老廃物・乳酸・尿酸などの疲労物質やヒスタミン・プラスタグランジン・ブ  ラジキニンなどの痛み物質と言われるものを静脈やリンパ管に流して取り除きます   ので、疲労が回復し、痛みは軽くなります。
3.反射により内臓の調子を整え、麻痺などの神経機能を回復します。

① 筋収縮と緩解

筋肉は、使いすぎても、使わなくても拘縮して機能が低下します。

また、内臓が働きすぎても働きが悪くても、内臓を包んで保護し、脊柱など骨格につないでいる間膜と言われる組織を通して、脊柱近辺の筋肉がコリ・痛みなど影響を受けます。


② 筋肉の刺激反応

瞬間伸張 … 筋肉は瞬間的に引き伸ばされると反射的に筋収縮する性質があります。これは筋紡錘(筋肉にある引っ張る力に反応する器官です)の働きで、伸張反射と言います。

また、この性質があるから、筋肉に対して押圧する場合はゆっくりと力を入れていかなければならないのです。

持続伸張 … 筋肉は持続的(最新の研究で10秒から16秒が最適)に引き伸ばされ ると、ゴルジ腱器官(腱紡錘)(筋肉の筋から腱への移行部にある引っ張る力に反応する器官です)の働きで、筋緊張を低下させる性質があります。
    
整体ではこの働きを利用して筋肉の異常緊張をゆるめることができます。
ストレイン・カウンターストレイン療法、等尺性収縮後リラクゼーションなどの療法は、筋紡錘のメカニズムをセットし直すものです。

ストレッチやスラストなどは、腱紡錘の働きを利用する手技療法です。


③ トリガーポイント療法 

疲労した筋肉・凝り固まった筋肉が、その筋肉の局所の圧痛だけでなく、時として頭痛のように、離れた場所に痛みを引き起こすこともあります。

痛みが他の箇所に広がることを放散痛と言います。
例えば、頭痛の原因の約70~80%は、胸鎖乳突筋のトリガーポイント(コリ)からくることが多いのです。

下肢・股関節・臀部の痛み・しびれ感は、中臀筋のトリガーポイントから発生する事も多くあります。


トリガーポイントの例

痛い部分を揉みほぐしても症状は改善されません。

トリガーポイントは、骨格筋などの中に認められる小さなこりこりした結節です。

トリガーポイントは、発生する筋肉により、特有な関連痛・運動機能傷害・自律神経症状が生じます。

筋肉の過度な動き、繰り返し動作などの結果生じ、筋肉は血流が滞って、酸素や栄養素の供給不足と老廃物の蓄積が起こります。

更に、筋肉が組織的侵害を受けると、ブラジキニン(血漿タンパク質から遊離)、プロスタグランジン(内皮細胞から合成される)、ヒスタミンなどの発痛原因物質が放出され、
痛みを感じます。

トリガーポイントの解消には、漸増加圧法(少しずつ力を加えて圧迫)による圧迫で施療した後に、筋筋膜をストレッチすると効果的です。

研究の結果、トリガーポイントの71%は東洋医学のツボと一致していると言うことですので、やはり、ツボの勉強は必要ですね。
                                                               
 難しいのは、トリガーポイントを見つけることですね。

ツボと言っても、教科書でならうツボと実際のツボは微妙に違います。
鍼灸の名人はそれを触診で探すことが出来ます。
教科書通りに施療してもあまり効果がないのは、位置が微妙に違うからかもしれません。


第4節 内臓への整体

① 直接施療 … 内臓を直接施療します。
         一般的にはこれを内臓マニピュレーションと言います。

心臓・消化器を始めとして、それぞれの内臓は独自の動きをしており、その動きがなくなると内蔵の機能が弱くなります。

「内蔵の動きの消失」というのは「いまだ病気ではない」・・・「未病」という状態になるのかもしれません。
「体調がすぐれない」「体がだるい」「胃腸の調子が悪い」・・・でも病院の検査結果は「異常なし」… こんな状態です。


② 間接施療 … 反射点・反射区を施療します

筋肉を動かす運動神経も内臓を支配する自律神経も、背骨から分岐しています。

内臓体表反射と言い、内臓の異常がその神経を強く興奮させると、
隣接する身体の表面に伝わる神経にも影響を与えます。

結果として、その神経が支配す体表に異常があるようなことになります。
つまり、背骨周辺の状態で内臓のことがわかるということです。

すなわち、ある部位の体表が知覚異常・痛み・冷え・循環異常を起こしていると、
どの臓器に異常が有るかがわかります。 (反射区・反射点と言います。解剖生理学では関連痛と言います)

経絡経穴などへの適切な圧迫は、体表の興奮を抑え、過敏な反応を治療します。

すると、その同じ部位の神経作用が及ぶ内蔵も異常な興奮が鎮まり、悪化した機能が元に戻って正しくなり、正常機能に復帰するわけです。

この働きは筋肉にも影響を与え、コリや痛みが治まってゆき、さらに筋肉の凝りによって影響を受けていた骨格の歪みを正常位置に戻すことが可能になるわけです。

第5節 整体 = 正体 とは…

① 正中線(せいちゆうせん)に対して左右前後のバランスが取れている(歪みがない身体)

 左右の足の長短、骨盤の高さ、肩甲骨の高さ、背骨の側彎など、左右前後の差がない身体を歪みがない身体と言います。。

② 骨盤(こつばん)、肩甲骨(けんこうこつ)、後(こう)頭骨(とうこつ)の左右が、外方に開いていない(引き締まった身体)       

肩甲胸郭関節(けんこうきようかくかんせつ)・仙腸関節・後頭骨が締まっている状態が整体=正体です。
これらが緩んで開いたままになるのは、左右のアンバランスから起こります。

* 後頭骨が締まると顔が引き締まり、頭の働きが良くなります。
  骨盤が引き締まると足腰に力が入りやすくなります。
  肩甲骨が引き締まると上肢や首が強くなり、肺・心臓などの機能が強化されます。

後頭骨の筋肉が緩んで引き起こす悪影響
     
後頭骨は左右の後頭骨からなります。顔全体が膨らむ、脳の血行不全と血圧異常、記憶力や思考力の低下、聴覚や視覚異常など。頑張りたい時に鉢巻きをするのはこの為です。

肩甲骨の筋肉が緩んで引き起こす悪影響

肩甲骨は左右にあり、胸郭後部と肩甲胸郭関節を成します。肩こりや首凝り、猫背、消化器や肺・心臓の圧迫と機能障害、脊椎変形による神経異常などを起こします。

仙腸関節の筋肉が緩んで引き起こす悪影響

仙腸関節は左右の腸骨と仙骨から成ります。腰痛、下半身肥満、生理不順や更年期症状、排泄機能低下、冷え性、O脚などを起こしやすくなります。

* これらの関節は同時に開閉を繰り返すのが健康体と言われています。
  
  骨盤が締まっている時は、
  肩甲骨や後頭骨も締まり、
  脳、呼吸器、循環器、消化器の働きも活発です。
   
  逆に、これらのひとつが緩むと
  他の関節も緩み不具合となるので早期調整が必要です。

   開く前は、身体に老廃物が溜まり排泄する時です。

   極端な例が生理です。
   生理前は骨盤、肩甲骨、頭蓋骨が緩み、
    顔ははれぼったくなり、下半身はむくみ、憂鬱(ゆううつ)な気分になります。
  排卵日時期には体調も精神状態も好調となります。

  また、骨盤は夜は緩み、昼には引き締まります。

  そして、春夏は緩み、秋冬は締まります。  



いずれにしても、自然の摂理に従って、後頭骨・肩甲骨・骨盤が開閉することが健康を維持することです。