第1節 身体の構成
私達の身体は、60兆個以上とも言われる細胞(さいぼう)から成り立っています。
元々は、卵子という1個の細胞から分裂して私達の身体を形作ったのです。
従って、身体の一部分が悪くなれば、大なり小なり他の組織にも影響が出ます。
その一つが、体表内蔵反射と言われるもので、内蔵の不具合が身体の表面に感覚異常として出ることです。(もう習いましたね…)
また、東洋医学的なものでは、内蔵の不具合が体表に現れるものに、経穴(ツボ)があります。
この章では、経絡・経穴について、科学的な解明はどうなっているのかを学びます。
ミクロの世界の話になりますが、細胞は、分子(ぶんし)が集まってできています。分子は、原子から成り立っています。原子は、原子核(げんしかく)(陽子と中性子から成ります)とそのまわりを廻る電子(でんし)から成り立っています。
身体 細胞 分子 原子 原子核 (+)
細胞 分子 原子 電 子 (-)
細胞 分子 原子 : (-)
: : : :
原子核はプラスの電気を持ち、電子はマイナスの電気を持っています。
電気が流れていると言うことは、磁気を持つと言うことです。
従って、原子核と電子から成る原子も分子も細胞も、そして私達の身体も当然、磁気を帯びています。
人体の持つ磁気を生体磁気(せいたいじき)と言います。
* 分 子 …
物質がその化学的性質を持つ最小単位を言います。分子は原子の結合したもので、例えば酸素は酸素原子Oが2個から成るO2です。
* 原 子 …
正の電気を持つ原子核とその周囲を廻る若干個のマイナスの電気を持つ電子から成ります。ちなみに、原子核は陽子と中性子から成ります。
* イオン …
正または負の電気を持った原子のことを言います。中性の原子や分子が、マイナスの電気を持つ電子を放出すると、プラスイオンとなり、逆に、他から余分の電子をとり入れるとマイナスイオンとなります。
* 電 流 …
マイナスの電気を持った電子の流れを言います。
第2節 生体磁気のバランス
身体に異常が生じた場合には、ツボ(経穴)など身体の一定の部分や傷口などに、マイナスの電気を持つ電子が異常集結する事が、確認されています。(マイナスの電気が集まれば、バランスをとるために皮膚または細胞の外側にはプラスの電気が集まります)
こうして身体の磁気バランスが崩れます。
健康体とは、生体磁気のバランスが取れている状態です。
例えば、切り傷や擦り傷など傷口と正常な皮膚を電線でつなぐと電流が流れることは、
科学的に実証されています。これを負傷電流(ふしようでんりゆう)と言います。
これは、傷口やツボにはイオンが集まり電位差が生じるためです。
この現象は身体内部でも起こっております。
第3節 マイナスイオン療法
整体療法のひとつに、マイナスイオン療法と言うのがあります。
磁石、チタンなどの金属を使う療法です。
イオン化傾向(かけいこう)とは、金属が電子を放出してプラスの電気を持つ原子(=イオン)になろうとする性質を言いますが、金属のイオン化傾向を利用して、体内の電子エネルギーを少なくし、生体磁気のバランスをとり、身体の不具合を調整する療法を言います。
イオン化傾向の大きさの例
Mg >Al >Zn >Fe>Ni >Sn >Pb >H >Cu> Hg >Ag >Pt >Au
通常は、細胞膜の外側はプラスの電気を、細胞膜の内側はマイナスの電気を帯びています。
従って、皮膚表面はプラスの電気、皮膚内部はマイナスの電気を帯びていることになります。
病気になると、ツボなどの皮膚の内部に電子が集まり電子エネルギーが高まります。
電子エネルギーが高まっている局所に、イオン化傾向の高い金属を接触させておくと、
金属はマイナスの電気を持った電子を放出して、皮膚表はマイナスに傾き、電気の性質により皮膚内部は電子エネルギーが減少します。こうして身体の異常が解消されることになります。
第4節 マイナスイオンの健康効果
原子がマイナスの電子を得るとマイナスイオンになります。
イオンになることをイオン化と言います。
(例) H+ 、 Fe+++ 、 So4--
イオンの働き
プラスイオン … 疲労イオンと言われます
マイナスイオン … 元気イオンと言われます
マイナスイオンを発生するエアコンや加湿器が売り出されているのをご存じですか?
マイナスイオンは、身体に良い影響を与える事が分かっているからです。
以下のような実験結果があります。
皮膚の表面にマイナスイオンを吹きつけると、皮膚の毛穴(けあな)や汗腺(かんせん)が拡張します。
これを「原形質膜(げんけいしつまく)の皮膚性反射(ひふせいはんしや)」といい、細胞自体の新陳代謝を高める効果があります。
逆にプラスイオンでは収縮して働きを弱めます。
マイナスイオンの多い空気の効用
免疫力の向上・精神安定・老廃物排出・呼吸機能向上・疲労回復
植物の成長が早まる
プラスイオンの多い空気の弊害(へいがい)
めまい・吐き気・頭痛・肩こり・不眠・老化
体内のカルシュウム・ビタミンCが尿中に排泄され筋持続力低下
血糖増加
*これで患者さんやお客様にマイナスイオンが身体に良いことが説明できますね。
私達のまわりは、電化製品の普及で、電磁波に囲まれています。
海山川の自然に接し、マイナスイオンをたくさん浴びることは健康につながります。
第5節 良導絡(りようどうらく)
全身に電気を通してみて、特に電気の通りやすい点を <反応良導点(はんのうりようどうてん)>と言いますが、中国医学古来のツボ=経穴とほぼ一致したことから、経穴を科学的に解明した第一歩として、世界各国から大きな注目が寄せられています。
皮膚の電気抵抗との関係で、東洋医学の経穴は自律神経の機能に関連しており、特に内蔵と関連性のある機能を持つ一連のルートを良導絡と名付けました。
これが経絡と類似していることも証明しました。
良導絡は、交感神経の興奮状態を調べた経路で、ストレス度判定となると同時に、健康度・体力の指標となります。ちなみに全身麻酔をするとほとんど零になります。
経穴で言えば、異常のある内蔵に関する経穴は特に電気が通りやすくなっています。
これは、電気抵抗測定器で、異常のある経穴を正確に探すことができるので、今まで勘に頼っていたツボが、個々人に応じて分かり、更に経絡の異常も電気的に量的に測って、治療が客観的、数量的に行えることになりました。
(1)良導絡の発見
良導絡は、1950年、京都大学医学部生理学教室において、故中谷義雄(なかたによしお)博士が発見したものです。
その研究は、内臓に病気が起こると、内蔵の種類により、皮膚(体表)に、各内臓疾患に関連のある電気の通り易い特定の系統が12種類現れることが確認されました。
そして、それぞれH1~H6良導絡、F1~F6良導絡と名づけました。
ちなみに、東洋医学にも正経十二経と言う六臓六腑から出る12の経絡があります。
また、その良導絡上に特に電気の通り易い点があり、それを反応良導点(はんのうりようどうてん)と名づけ、その点に、電流・針・灸・光線・指圧等の刺激を与えることにより、もとの内臓疾患の症状が改善されることが解りました。
私たちの自律神経は交感神経と副交感神経に分かれており、全ての臓器器官に分布しています。
良導絡はとくに、交感神経の機能の興奮性と密接な関係のあることが解明されたので、一人一人の患者さんの異常な交感神経の興奮性を知ることができるようになりました。
良導絡では、ノイロメーターという機械で電気の通り具合を調べることによって、全身の欠陥がわかります。従って、その測定によって患者さん自身が自覚していない症状も知ることができます
(2)皮膚の導電性(電気抵抗)
皮膚に弱い電気を流したとき、どこでも同じように電気が流れるわけではありません。
皮膚は、どこも電気が流れます。〈多く流れる所〉と〈少なく流れる所〉があるということです。
電気の流れやすい点を[良 導 点]と名付けました。
上半身では下半身に比べ、電気は良く流れ、良導点は多く出現します。
上半身の伏臥位の整体が一番大切な事の証明です。
良導点は、身体(内臓を含む)に異常が有る時に、鮮明に現れ、異常を呈する内臓や部位によって出現する場所が異なります。
良導点、特に反応良導点は、身体の状態が自律神経を介して皮膚上に反射した点であり、皮膚上の良導点の電流量(電流量の変動)を観測することにより、間接的に交感神経の興奮性を知ることが出来ます。
(4)[経穴・経絡]と[良導点・良導絡]
良導点、特に反応良導点は、中国の伝承医学の一つである「経穴・経絡」の経穴(ツボ)の部位に、多く一致することは実証されました。
即ち、経穴(ツボ)は導電性が高い(電気が通りやすい)という特性を持っています。
このことを中谷博士が世界で初めて証明したとして、国際的に高い評価を受けています。
[良導絡]と[経絡]は相似形をなしています。
「良導絡」は、「経絡」の生理学・病理学的部分を、電気生理学と自律神経学の立場から表現し、同時に経絡を科学的に解明し証明したものといえます。
経絡では、六臓(肺,心,脾,肝,腎 の五臓に心包を加えて)と六腑(小腸,三焦,大腸,膀胱,胆,胃)の12系に分類しています。
良導絡も、経絡の観念を踏襲して六臓・六腑の12系に分類しています。
良導絡では、手を走行する良導絡に[H =HAND]を、足を走行するものに[F=FOOT]の記号をつけて呼んでいます。
注意が必要なのは、経絡や良導絡の「肺,肝,胃」等の内蔵が、現在の解剖・生理学上の「肺臓,肝臓,胃」と同一のものではないことです。
「肝」は、肝臓のみならず眼,筋肉,生殖器などを含む自律神経機能の一つの独特なパターンだと理解して下さい。筋肉痛や眼精疲労も「肝経」の異常として現れます。勿論、肝臓の働きに異常があるケースでは、「肝経」に変化が現れます。
また、現実に「心包」及び「三焦」という臓器は存在しません。
良導絡では、「心包」は「血管及び血液循環器能」と、「三焦」は「リンパ管及びリンパ系の機能」だと解釈しています。
また、「脾」は、「脾臓」よりも「膵臓を中心とする消化機能」に、「腎」は、「腎臓の泌尿機能」よりも「副腎を中心とする内分泌の働き」に重点を置いています。
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