2017年3月10日金曜日

整体実技|坐骨神経痛

座骨神経痛

坐骨神経痛とは、
「症状」の表現であり、病名ではありません。

病名は、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)や椎間板ヘルニアなどです。

坐骨神経が、腰椎の隙間から出て骨盤をくぐり抜け、お尻の筋肉から出て下肢に至るどこかで、圧迫などの障害を受けた為に発症します。

これらの「神経痛」を総称して坐骨神経痛と言います。

坐骨神経痛は、臀部から大腿後部にかけてシクシクとした鋭い痛みがあります。
症状が深刻になると痺れが下まで伸びていき、足指まで痺れる場合も出てきます。

坐骨神経は、
L4・L5の神経と
S1・S2・S3の仙骨の前面から出る神経
が合わさり、
梨状筋の下から大腿後面を通り、
膝の裏の上(大腿の下3分の1の高さ)で
総腓骨神経と脛骨神経に分かれて走行します。

また、坐骨神経は、
皮膚に近い位置を走っているのが特徴です。

皮膚に近いという事は、
圧迫などの障害を受けやすいという特徴でもあります。


第1節 坐骨神経痛の原因
                             
若い人の場合、最も多いのは、腰椎椎間板ヘルニア、次に梨状筋症候群が挙げられます。

高齢者では、変形性腰椎症や腰部脊柱管狭窄症などの変形疾患に多く見られ、また帯状疱疹により坐骨神経痛を発症する場合もあります。

年齢に関係なく特殊な疾患として、脊髄腫瘍や骨盤内腫瘍などが挙げられます。こういった腫瘍性の病変で坐骨神経痛を発症する場合は、痛みが非常に強く、保存的治療で治りにくいのが特徴です。

まとめますと、以下の通りです。

① 腰部関節の変位
   
仙腸関節・股関節・腰椎椎間関節の変位に伴い、関連する筋肉が過緊張することにより、坐骨神経が圧迫などの障害を受けて発症します。

② 椎間板ヘルニア

椎間板は弾力性がありますが、過大な負荷によりつぶれることがあります。 この時、神経が刺激されると、坐骨神経の通っている範囲に症状が出ます。

③ 脊柱管狭窄症・変形性脊椎症

脊髄神経が通っている脊柱管が、老化などによって狭くなることや、脊椎関節に変性が起こることで症状が出ます。

④ 腰椎の分離症・すべり症

腰椎の分離症は、腰部の背骨のある部分が切れてしまうことですが、問題なのはこの部分が不安定になった場合で、切れた部分から背骨が前方に滑って、神経が刺激されことによって坐骨神経痛の症状を起こすことになります。

⑤ 梨状筋・ハムストリングの慢性的過緊張

梨状筋やハムストリングが、過剰な負担で過緊張が続くと、坐骨神経を圧迫して坐骨神経痛の症状が現れます。

⑥ 腫瘍

脊髄腫瘍や骨盤内腫瘍など、腫瘍性の病変で坐骨神経痛を発症する場合は、痛みが非常に強く保存的治療で治りにくいのが特徴です。

⑦ カルシュウム・マグネシュウム不足によるもの

筋肉の収縮・弛緩は、主にカルシュウムとマグネシュウムが関連しています。筋肉細胞中のミネラルバランスが崩れると、筋肉の異常収縮・異常緊張が起こります。慢性的な異常緊張は、骨格筋周辺の抹消神経を圧迫して傷つけ、肩こり・腰痛・坐骨神経痛の原因を作ります。


第2節 治療穴

① 腰部の施療

1. 肝兪 2.  胆兪 
3.  脾兪 4. 胃兪 
5.  三焦兪  6.  腎兪   
7.  気海兪  8.  大腸兪   
9.  関元兪
10.志室  11. 腰眼

② 臀部の施療

12.  八髎穴
=上髎(じょうりょう)・次髎(じりょう)・
 中髎(ちゅうりょう)・下髎(げりょう) 
13.  胞肓(ほうこう)
=正中仙骨稜第2仙椎棘突起部の下外方3寸
14.  秩辺(ちっぺん)
=正中仙骨稜第3仙椎棘突起部の下外方3寸
15. 坐骨神経点1(梨状筋下孔部) 
16. 坐骨神経点2(坐骨神経下肢への出口)



③ 下肢の施療

17.  承扶   18.  殷門  
19.  委中(脛骨神経部位)
20.  委陽    
21. 陽陵泉(総腓骨神経部位)
22.  合陽
      =委中の直下2寸と3寸の説があります。
   合陽穴から承山穴までは深部を脛骨神経が走行 
23.  承筋   24.  承山
25.  昆崙(アキレス腱と外踝の間)





第3節 整体施療

① 股関節の変位を調整

  骨盤の変位を調整

  腰椎の変位を調整


② 臀部拘縮の処理
      小臀筋・中臀筋・梨状筋の肘圧、内外閉鎖筋の理筋
  尾骨側部母指揉捏(閉鎖筋停止部)
  大臀筋(疲れが残りにくい筋肉ですが長期間の症状の場合は大臀筋も施療)

③ 仙骨上の施療
      脊柱起立筋起始部・仙腸靱帯など仙骨上の靱帯・多裂筋の施療

③ 腸骨上部の豆状骨による理筋
  腸腰筋・腰方形筋の緩解

④ 大腿部拘縮の処理
  腸脛靱帯・大腿二頭筋・半膜様筋・半腱様筋・坐骨神経

⑤ 腰背部過緊張の理筋
  脊柱起立筋・肋間筋
 (T9.10・11~L4・5 、更に、S1・2・3まで)

⑥ 下腿部拘縮の処理(下腿部や足先まで症状がある場合)
    前脛骨筋

腰臀部の理筋:







第4節 自分で行う整体施療

自療法 … 患者さんは自分で日々次の体操を行うことで、重い座骨神経痛も快方に向かいます。   

① 大腰筋の操体            
      椅子座位で足首を底屈外転し、上体を逆側に捻る。

② 内側広筋・大腿直筋 (大腿内側前部)⇒ 仙腸関節の操体
      椅子座位で足首を底屈外転し、上体を同側に捻る。            

③ 背部  ⇒ 胸腹部特に外腹斜筋
      仰臥位で膝を立て両腕は外旋して手の甲を合わせ、左右気持ちの良い方に押しつけ、上方に伸ばす。

④ 半腱様筋・半膜様筋(大腿内側後部)の操体  ⇒ 背部・頸部
  膝屈曲位で足首背屈外転し逆側に上体を捻る。
      膝屈曲位で足首底屈外転し同側に上体を捻ると②となる。

⑤ 腰背部
      仰臥位で膝倒し。
  仰臥位で踵伸ばし。
  座位で側屈腕挙上。

     

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