カイロプラクティック1 リスティング
人体における脊柱などのフィクセーションやサブラクセーションを改善して、
カイロプラクティック(Chiropractic)は、1895年(明治28年)にダイエル・デビッド・パーマー日本整体師認定協会より創設されました。
最初は、多くの経験医学と同じように、医学界から様々な迫害に合いましたが、継承発展するにつれて、民衆の支持を得て、医学療法として認められるに至りました。
リスティングとは、サブラクセーション・フィクセーションの方向を表示することです。
サブラクセーションとは関節の亞脱臼、フィクセーションとは関節可動域の減少です。
第2節 椎骨変位の徴候
1.圧痛または
圧痛は押圧刺激による痛み、疼痛はそれ以外の自覚痛です。
疼痛は変位場所に生じる場合だけでなく、神経の末梢部に生じることもあります。
末梢部を支配するデルマトーム(脊椎分節)を調べましょう。
2.椎骨近辺の筋肉の緊張
回旋筋・多裂筋・脊柱起立筋などが緊張して脊髄神経や動静脈を圧迫します。
関連組織の疼痛・痺れ・感覚異常となります。
3.椎骨の不整列
棘突起・横突起の不整列と関節の可動性の減少が見られます。
第3節 リスティング用語
R (右方)
Right L(左方)Left A(前方)Anterior P(後方)Posterior
S(上方)Superior I(下方)Inferior IN(内方)Internal EX(外方)External
RP=脊柱椎体の右側が後方に変位
RPI=脊柱椎体の右側が後下方に変位
RPS=脊柱椎体の右側が後上方に変位
LP=脊柱椎体の左側が後方に変位
LPI=脊柱椎体の左側が後下方に変位
LPS=脊柱椎体の左側が後上方に変位
PI=腸骨(Ilium)のリスティング
PSISが仙骨に対して後下方
腸骨の後方回転変位か下方変位
AS=腸骨(Ilium)のリスティング
PSISが仙骨に対して前上方に変位
腸骨の前方回転変位か上方変位
PIEX=腸骨(Ilium)のリスティング
PSISが仙骨に対し後下方、外方に変位
PIIN=腸骨(Ilium)のリスティング
PSISが仙骨に対し後下方、内方に変位
ASEX=腸骨(Ilium)のリスティング
PSISが仙骨に対し前上方、外方に変位
ASIN=腸骨(Ilium)のリスティング
PSISが仙骨に対し前上方、内方に変位
第4節 脊柱(vertebra、spinal、spine)の名前
頚椎(Cervical vertebrae)
略称 C1(第1頚椎) C2(第2頚椎) … C7(第7頚椎) 7個
胸椎(Thoracic
vertebrae)
略称 T1(第1胸椎) T2(第2胸椎) … T12(第12胸椎) 12個
腰椎(Lumber vertebrae)
略称 L1(第1腰椎) L2(第2腰椎) … L5(第5腰椎) 5個
仙椎(Sacral vertebrae)
略称 S1(第5仙椎) S2(第2仙椎) … S5(第5仙椎) 5個
尾骨(Coccyx)
略称
Co
1個
第5節 静的触診法(Static
palpation)と動的触診(Motion
palpation)
静的触診
1.棘突起の両側の筋肉
2.棘突起
3.横突起
4.骨盤 (腸骨稜・PSIS・ASIS・正中仙骨稜など)
患者を伏臥位似させ、脊柱の不整列を調べます。
①脊柱両側の筋肉の状態(圧痛・コリなど)を調べます。
②棘突起の位置…中指で棘突起上を上から下に滑らせて検査します。
③横突起の位置…示指と中指で棘突起を挟むように上から下に滑らせて検査します。
動的触診
1.関節の可動性が減少しているかどうかを触診します。
2.指頭で目的の関節の動きを触診します。
例えば、ある椎骨右側を押すと動くが左側を押すと動きが悪い時は、LPと読みます。
第6節 アジャストメント(Adjustment)
アジャストメントとは、変位を起こしている椎骨を元の位置に押し戻すことにより、緊張している筋肉、特に回旋筋などの深層筋(=揉んだり押しても容易には届きません)を緩めて、障害を受けている神経・血管の働きを正常にすることです。
アジャストメントの注意事項
①無理・無駄な力を加えないことです。
②患者さんの力を抜かせます。原則として呼気限界時に行います。
③矯正する椎骨以外の椎骨を動かさないようにします。
④瞬間的な急圧(スラスト=thrust)が必要となります。
正確に目的の椎骨を動かすにはハイスピードな手技が必要です。ダルマ落としの原理です。
筋肉が緩む理由=筋肉は、筋腱移行部にある腱紡錘という感覚受容器の働きで、急に引き延ばされると、筋肉が切れてしまうのを守るために、筋肉を緩めて防衛します。(参考:筋腹には、筋紡錘があり、急激な刺激に対して、筋肉が傷つかないように筋肉を硬くして防衛します。)
⑤相当に熟練した受講生のみが行って下さい。効果がありますが危険な手技です。
患者さんを傷つけた場合は自己責任となります。
第7節 アジャストメントの事前準備=関節固定
アジャストメントを、
変位している椎骨の関節に正確に行うためには、
関節固定ができれば、
正確な椎骨変位の施療が可能となります。
関節固定の一般的な順番
①ベッド側下半身の関節固定
ベッド側の下肢は少し膝を曲げ、腰部も軽く屈曲した体勢を取ります。
これがカイロプラクティックの基本姿勢です。
②天井側下半身の関節固定
天井側の膝を持ち、目的椎骨に向かってテンションをかけます。
③ベッド側上半身の関節固定
変位している椎骨に向かって、ベッド側の上肢を引っ張ります。
④天井側上半身の関節固定
肩に手をかけて、目的椎骨に向かって、後下方にテンションをかけます。
以上の手順で身体の緩みを取って、呼気の限界でアジャストします。
詳しい実技手順は次のブログを参照して下さい。
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