(1)股関節の動き
股関節の動きは主に次のような動きがあります。
① 牽引
② 屈曲 伸展
③ 内旋 外旋
④ 外転 内転
普通はこれらの動きは複合して行われます。
例えば、胡座は股関節の外旋と外転が同時になされます。
割座は股関節の内旋と内転が同時になされます。
前後開脚は片方の股関節は屈曲で他方の股関節は伸展がなされます。
ある部位の関節の可動域やあそびが消失すると、それをカバーして動くため、関連する筋肉や他の関節・筋肉に影響を及ぼします。
特に股関節は、骨盤や膝関節に連動して、膝痛・下肢痛・腰痛などに限らず全身に影響します。
お相撲さんや体操選手などのような柔軟性があると、それらの予防にも役立ちます。
(2)股関節の調整
右股関節を例に取って説明します。
① 牽引調整
患者仰臥位。
術者は患者の下方に位置します。
足首部を把握し、外旋しながら牽引、内旋しながら牽引します。
患者の股関節が前方変位か後方変位かに注意して強調する方向を定めます。
患者横臥位で行うと股関節の下方変位に効果的です。
② 屈曲調整
患者仰臥位。
術者は患者の右に位置します。
右膝で患者の左膝の上を固定し、両手で患者の右膝を持ち、右膝を患者の胸につけるように右股関節を屈曲させます。
外側および内側に調整を行います。
③ 伸展調整
患者伏臥位。
術者は患者の右に位置します。
右手で患者の右大転子部を固定し、左手で患者の右膝をすくい上げて右股関節を伸展させます。
④ 内旋調整
患者伏臥位。
術者は患者の左に位置します。
左手で患者の右腸骨前上部を下からすくい上げながら、右手で足患者の右首を持ち膝を90度に屈曲させ、股関節を内旋させます。
⑤ 外旋調整
患者伏臥位。
術者は患者の左に位置します。
左手で患者の腸骨後面外側を固定し、右手で患者の右足首を持ち膝を90度に屈曲させ股関節を外旋させます。
⑥ 内転内旋調整
患者仰臥位。
術者は患者の左に位置します。
患者の右腸骨を右手で開くように固定し、左手は患者の屈曲させた膝に当て、股関節を手前に引きつけながら、股関節を内転内旋させます。
⑦ 外転外旋調整
患者仰臥位。
術者は患者の左に位置し、患者の右腸骨を右手で閉じるように固定し、左手は患者の膝に当て股関節を向こう側に押しつけて、股関節を外転外旋させます。
⑧ 内転調整
患者仰臥位。
両下肢をクロスさせて伸ばした方の下肢を内転させます。
⑨ 外転調整
患者横臥位。
大転子を圧迫し、下肢を上げ下げしながら徐々に外転します。
注意
関節整体で学習した肩甲帯の基礎および股関節の基礎は、決して無理な力をかけてはいけません。
関節整体は、関節可動域の拡大、運動能力の改善に繋がりますが、炎症など故障している関節には逆効果となります。
関節運動に障害がある場合は、応用編で研修する関節調整で行います。
凹関節と凸関節の関節包内の骨頭の動きを理解して、施療することが大切です。
凹滑り法と凸滑り法に準拠して施療しないと高い効果は得られません。
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